Rewrite:2014年3月27日(木)
『究極の鍛錬』(ジョフ・コルヴァン著、サンマーク出版)にこんなエピソードが出てくる。
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タイガー・ウッズはトーナメントに出場中ボールに向かって構え、スイングを始め、まさに打とうとした。だがその瞬間に彼の気を散らすような大きな物音がした。ファンの叫び声、誰かが急に動いた物音、他のホールでのギャラリーの叫び声だ。ウッズは途中でスイングする手を止め、ボールを打つ姿勢からいったん下がり、集中力を取り戻してからまた前に進み、ボールを打った。通常のゴルファーはこうした状況に出くわすと畏敬の念を抱くものだ。自分が同じ状況に置かれたらどのようにするかわかっているからだ。そのままひどいショットを打つか完全に空振りしてしまうだろうとわかっていても、いったん打ち始めたスイングは途中で止めることができない。このことはどうして重要なのだろうか。卓越した能力をもつ選手のやっていることを頻繁に見ていると、長い間練習し、何度もやっているので自動的にできてしまうのではないかという印象をしばしばもってしまう。しかし、実際のところこうした選手が身につけているものは、自動的にやってしまうことを避ける能力なのだ。
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鍛錬の目的は自動化ではなく、その先にある。つまり、自動的にやってしまうことを瞬時に避け、いったんやり過ごしてから再び平常心でいつものように自動的なプレーができることである。それが一流アスリートの鍛錬であると『究極の鍛錬』では教えている。
ビジネスにおいても行動は自動的なものになりやすく、それを日々くり返すわけだが、異常を察知したその瞬間に行動を止められるかどうかがポイントだ。
「あ、おかしい」「何か変だ」と思ったとき立ち止まろう。そのためには、何が異常なのかが分かっている必要がある。行動の基準や条件が明確であり、それにシビアであれば行動を止めることにためらいはない。