お金の勉強をすべきなのは誰?
●紙幣を挟む「マネークリップ」なるものを始めて買ったのは20代のときだった。
『メンズクラブ』で紹介されているのを見て欲しくなり、あちこち探し回って手に入れた。
お金は不浄なもの、お金の話をするのは恥ずかしいことという日本古来の常識からみれば、紙幣を裸のまま挟むマネークリップは異端そのものだ。
その異端さがかっこよかったわけだが結局馴染めず、財布利用にもどってしまった。
●お金の話題をするのは恥ずかしいことだし、お金儲けの話など世間でするものではないというのが日本古来の思想だ。
だが、世界で経済の覇権争いがすすむと、お金や経済の話を堂々とやりあえる環境作りが必要になる。
●そこでようやく政府は金融経済教育の推進に力を入れ始めた。
手始めに大学・高校等での出張授業を実施している。
金融庁職員による出張授業で日本国民の金融リテラシーを変えていこうとする取り組みだ。
講師として出向いた金融庁の職員が教育現場の実情やニーズを直接くみとり、教員向け教材などの作成にも生かしていくそうだ。
●来春からは高校の家庭科で「投資信託」の教育が始まる。
また、金融庁と文響社がタッグを組んで、「うんこドリル」のなかに小学生向けコンテンツ「うんこお金ドリル」を作成して子どもたちへのお金教育に力を入れる。
★うんこお金ドリル
⇒ https://play.unkogakuen.com/manabi/game/fsa/
●無論、子どもへの教育は大切だが、私は大人への教育も必要だと思う。
最近の「モーニングスター」にこんな記事をみつけた。
従業員の資産形成を考えるためにも、しっかりお読み願いたい。
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米国には「401kミリオネア」という言葉がある。
企業型確定拠出年金(401kプラン)で、退職時に100万ドルを作って引退した人たちのことだ。
このような富裕な人たちが、ごく一般的な会社員生活を送った人に意外と多く存在するという。
100万ドルは、日本円に換算すると1億円強。
以前は日本で「老後2000万円不足問題」がちょっとした騒ぎとなった。
企業年金で退職時に1億円を普通に得られる人が多い米国との違いが明らかだが、日米でどんな差があるのだろうか?
実際問題として、「国からの年金だけで老後生活は大丈夫」と思っている人は少ないだろう。
誰もが、何らかの備えをしなければならないと考えている。
この状況は、米国でも同じことで、米国にも公的年金制度はあるものの、その所得代替率(現役時代の収入に対する年金受給額)は40%程度(日本では32%)とされ、自助努力の401kが一般的に利用されている。
では、米401kでミリオネアとは、どのような掛金で積み立てた場合だろう?
米国の401kは、従業員が給与の3%、5%、10%などの拠出額を決め、これに対し、企業が100%マッチングを行う制度になっているようだ。
日本のように、企業が企業年金として拠出額を決め、それに対し、従業員がマッチング拠出を任意で行うということとは異なっている。
そこで、単純に401kで米国S&P500に連動する投資信託を毎月1万円拠出して投資したとする。
1980年1月をスタートとし、2019年12月まで40年間(480カ月)を積み立てたとすると、2019年12月末現在の積み立て資産の評価額は6965万円になっている。
この場合、企業側から同額の1万円が拠出され、毎月2万円を積み立てた結果になる。
毎月の拠出額を1.5万円(企業マッチングで3万円)として計算すると、2019年12月末現在で1億447万円となり、「ミリオネア」になる。
401kで給与の5%を拠出する選択をした場合、月収が30万円に対する拠出額が1.5万円になるため、「401kミリオネア」が珍しくないという実情は想像に難くない。
一方、同じことを日本に置き換えて考えてみる。
企業型確定拠出年金の平均拠出額は7549円(企業年金連合会2018年度決算DC調査)だが、これを仮に1万円として、さらにマッチング拠出を1万円上乗せして日経平均株価に連動する投資信託で運用したとする。
1980年1月から2019年12月末まで40年間を継続投資した場合、その結果は1663万円になる。
米国では6965万円になっていたことと比較すると、その投資効果は大きく見劣りしてしまった。
もちろん、投資先として、日経平均株価ではなく米国のS&P500を選んでいれば、もっと違った成績になっていたが、1980年代は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代。
おそらく、当時に制度があれば、日本人はこぞって日本株に投資していただろうと考えられる。
(ちなみに、米国では1980年から401k制度が実施されているが、日本では2001年10月に制度がスタートしている)。
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■引用元の前文記事はこちら。
https://www.morningstar.co.jp/market/2020/1023/fund_01029.html
■企業型確定拠出年金についてはこちら。
https://www.toushin.or.jp/dc_contents/c_dc/index.html
●iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金など、お金の勉強をしなければならないのは子どもだけではなく、大人や経営者もそうなのだ。