昨日の公式編に続いて、今日はプライベート編をお届けしよう。中国への旅に慣れた人にとっては当然のことも多いと思うが、慣れない私にはすべてが驚きだった。
1.給料について
雲南省の観光地・麗江でツアーガイドを仕事にする王さんは、26才独身女性だ。彼女は日本語をマスターするために黒竜江省まで行って自分に投資した。
雲南省から黒竜江省といえば、南西端から北東端までの大移動で、おそらく数時間の空の旅になるだろう。そうして身につけた日本語を武器に、友人より5割は高い月給を得ているという。
その王さんの月給が300元(4500円)だ。
「日本に行くのが夢」だというが、「物価が違いすぎて行けそうもない」ともこぼす。それでも新婚旅行のときには日本に行きたいそうだ。ちなみにボーナスや退職金はないので、年収は54,000円になる。
彼女は努力した結果として今の給料を得ているが、奥地まで行けば、学校の先生でも50元(750円)で働く人が少なくない。
土地が国有であり、水道電気などの生活インフラがものすごく安いから生活はできる。
こうした賃金格差には、改めて考えさせられた。最も経済開発が進んでいる街・上海に行くと、サラリーマンの月収ははね上がる。
平均月収は15,000円~20,000円になるが、特殊技能を身につけて外資系企業で活躍できれば月給150万円も可能だ。
このように、地方へ行けば富はおおむね平等という社会主義・共産主義のなごりを残している一方、大都市では資本主義による富の圧倒的格差が開きつつあるのが現在の中国だ。
ツアー同伴者の方が上海市内に友人がいるというのでそのマンションを訪問した。上海の旧市街中心部にある好立地で、台湾出身の彼女は、貿易と株式投資で得た利益によって104坪のマンションを800万円で入手したという。事業を始めてまだ3年め。中国の物産(特に帽子)をネットで日本などに通販しているそうだ。台湾で宝石商を営んでいるときよりも儲かるとも言っていた。
2.APECの上海とテロ事件について
テロによる影響で海外旅行者が減っているそうだ。特にFBIが、「この数日以内にテロが起きる」と発表した直後だったので、出発前はあまり良い気分ではなかった。しかし、出発日の名古屋空港国際線ロビーは午前7時半にも関わらず人が多い。
特にAPEC開催直前にあたる上海での入国審査は厳しく、普段は流れるように入国カウンターを通過するものが渋滞していた。
中国でも今回のテロ事件に関する報道は毎日のようにある。日本ほど詳細な特集番組はないにしても、新聞では必ず1ページほどは記事がある。特に私たちが訪れた雲南省では、イスラム教徒の比率が高く、宿舎の前がイスラム教の人々による市場街だった。記念にイスラムの帽子を10元(150円)で買った。
上海では10/20のAPEC会議のために、10/17~10/23はすべての企業が休みになる他、上海ナンバーの車以外は市内を走ることが出来ない。従って上海の市中は車が極端に少なく、タクシーとバス以外の車は、ほとんど見かけることがなかった。
10/20(土)に上海入りした我々一行は、市内観光を断念してデパートに一時間立ち寄るだけにしたが、おびただしい警察官の数。
各国首脳が車で移動するとなると、その20~30分前からその経路はすべて封鎖され、歩行者も通さない。もちろん誰がどのホテルに泊まっているかは関係者しか知らない。私たちが宿泊したホテルの前にあるホテルが前日ブッシュが泊まったそうだが、そのあたりで写真撮影していたら厳しく注意され、追い返された。
それでも夜の上海を徘徊したい私は、ホテルでの夕食後、同伴者2名とともにタクシーに乗り込み、外灘(ワイタン)という市内で最も美しい観光スポットを訪れた。また今年5月に改装されたばかりの上海駅に入り、チケット購入も経験し、待合室まで入って記念写真を撮ってきた。
「APECのおかげで仕事にならない」というタクシーの運転手にとって、2時間の貸し切りツアーで160元(2400円)の売上はきっと大満足だったに違いない。
3.一人っ子政策について
中国でも日本同様、5年に一回の国勢調査が行われる。昨年の調査では、12億6500万人の人口となっているが、実態はもっと大いに違いない。
1億人とも2億人とも推定される田舎の出稼ぎ労働者は、職を求めて都会にあふれている。また、一人っ子政策によって2人以上の子供をもつ田舎の農夫はその発覚をおそれて調査への協力を拒むなどの問題がある。また、無届けの子供も少なくない。そうした問題と矛盾を抱えた一人っ子政策だが、それでも断行しなければならない国の事情もあるのだ。
http://www.ipsnihongo.org/n05/31.html
日本は少子高齢化に悩んでいるが、ところ変われば事情も大きく変わるようだ。
4.中国非凡会について
あなたの会社が中国と何かの関係を持とうと思われるなら、しかるべき機関が各地にある。県や市の役所へ行けば、そうした窓口を教えてくれるに違いない。
しかし、とりあえず情報だけを得たいというならば、このサイトはどうだろう。
「中国情報局」http://searchina.ne.jp/
無料メールマガジンも発行している。
http://info.searchina.ne.jp/member/
名古屋と沖縄で開催している経営者の交流会「非凡会」を中国でもやってみたいと思う。生の情報が得られるはずだ。
来年になるが、第一回は上海か常州あたりで開催予定