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剛腕セールスマンT氏

Rewrite:2014年4月1日(火)

ビジョンと信念が必要なのは経営者だけではない。営業マンも企画マンも人事マンも財務マンにも皆、ビジョンが必要だ。

そのことを証明している剛腕セールスマンにお会いした。千葉県で住宅セールスを行うT氏だ。年齢は尋ねなかったが、30才代半ばというところだろうか。
T氏は、年間40棟の住宅販売を目標にし、最近の3ヶ月では19棟を売っている。もちろん彼一人で、である。平均的なセールマンの場合で年間6棟~8棟なので、軽くその5倍は売っている計算だ。しかも楽しそうにやっている。

なぜT氏は売れ続けるのか?お会いして秘訣を聞いてみた。

「武沢さん、業界の人たちは売れない売れないと嘆いていますが、私に言わせれば今の住宅需要はミニバブルですよ。だって、欲しいという人たちが一杯いるんですから。売れないとなげいている人たちの多くは5年前と同じ売り方をしようとしてる過ぎないんです」

彼の売り方はこうだ。

地元の金融機関を軒並み訪問し、住宅ローンに積極的なところを探す。
更に地元不動産会社も軒並み訪問し、土地付き住宅販売に力を入れているところを探し出す。こうして見つけた金融機関・不動産会社そして彼が働く住宅建設会社の3社が協力関係を作り、協調して顧客開拓を行う。

T氏の会社では住宅展示場がないので、契約者のすべてが過去の顧客の紹介、またはこの3社連係の中から発生する顧客だという。普通の住宅営業マンは「土地なし客」といって、土地を持たない見込客をいやがる。まず土地探しから協力しなければならず、しかもその後も受注できるとは限らない。つまり効率が悪い見込客の代名詞が「土地なし客」なのだ。

T氏は言う。

「いま活発に動いているお客様は主に一次取得者といって、初めて住宅を購入される方々が多い。当然、土地を持っておられないお客様が多い。だったら土地と建物をセットにしてローンを組んであげればお客様も手間が省けるじゃないですか」

「また、最近の一次取得者は大変よく勉強をされていて、知識をいっぱい持っておられる。お客様の高い要求水準に応えるだけの知識が我々営業マンにも必要です。しかし私は、自分の知識の豊富さで売れているとは思っていない。この三社のタッグによってお客様に利便性を提供しているのです。あとは自信を差し上げることですね」

自信を差し上げる?

「はい、私には200人近い顧客がおられますが、皆さんすべてが私から家を買って頂いて大満足されています。家族ぐるみのお付き合いをしている方も少なくない。つまり私には200棟の家を建ててきた実績と自信があるのです。その一方、お客様にはそうした経験や実績がない。その溝を埋めてあげる役を果たすのが私の義務です。ですから、契約が済んでいないのにプランの打合せや、地鎮祭に呼ぶ人のリストを作り始めたり、ご祝儀を誰に渡すかといった話までします。お客様は欲しくてしようがないのですから、決断をさせてあげるのが私の役目。たまに他社との相見積もりになりますが、動じることはありません。むしろ競合は歓迎です。そして、必ずお客様は私を選ばれます。なぜなら、私がお客様を信じているからです」

これほどまで見事に経営者感覚で仕事をしている人は結果が出せて当然だろう。またこんな社員を抱えている住宅会社は強い。