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師走の店舗異変

師走の店舗異変

●さあ、師走。
ボーナスも近い。
街にはツリーが飾られ、イルミネーションも鮮やかで、クリスマスを祝う曲があちこちに流れている。
デパートや量販店にはお目当ての品を物色する買い物客があふれ、中にはプレゼントを何にするか思案げな顔の客も多い・・・。

例年なら間違いなくそうなっているはずだが、今年は日本も諸外国も様相が一変しているようだ。

●多くの街がロックダウンされたヨーロッパだけでなく、アメリカでも買い物客はまばらだ。
例年「ブラックフライデー」ともなると人気デパートには長蛇の列ができ、開店と同時にお目当ての売場に殺到する光景がみられた。
ところが、今年の店内はまばらで、普段の日となにも変わらない。

●それでもアメリカではこの年末商戦で過去最高の売上を記録するという。
つまり買い物客は店舗の人混みを避け、オンラインで買うようになったのだ。
こうした傾向は何年も前からあったが、今年は雪崩現象が起きている。
米国の調査期間によれば、ブラックフライデー(11/27)の実店舗への客足は、新型コロナの影響で前年比52%減少した。
「感謝祭」当日(11/26)の客足にいたっては何と前年比で95%も減少した

●小売り各社ともオンライン対応を急いでいるが、今年あわてて対応したところは伸びていない。
ネット店舗とリアル店舗の優劣が露骨なまでに結果にあらわれた今年だが、ネット店舗のなかでも優劣がはっきり決まりつつあり、一部の企業だけがすごく潤っている状況だ。

●潤うとはいっても、ぼろ儲けを意味するわけではない。
多大な投資を必要とする。
特にロジスティック投資だ。
物流システムや人員確保などがきちんと出来ていないと、欠品したり、納期遅れがでたり、商品や梱包が破損するなど、トラブルが起きやすくなる。

●弊社のスタッフがネットで買ったセーターは、ペシャンコの袋から商品が飛び出た状態で届いた。
原因が倉庫なのか配送なのかわからないが、現場が混乱している証拠だ。
配送スタッフの疲弊もある。
倉庫でのコロナ感染リスクもあるから、Eコマース企業の現場はいま戦場だ。

●もっと深刻なのは集客できずに苦戦が続くリアル店舗である。
国では昨年一年で9,300件の小売企業が閉鎖した。
今年はすでに8,325件が閉鎖している。
クリスマス直前になると駆け込み需要が発生し、12月19日、20日の週末には店舗も盛況になるという期待もある。
果たしてどうなるか。

●今、お店の人たちにアドバイスできることは、この時期の来店客は相当購買意欲の強い人なので、そういうお客をしっかり大切にして客単価向上を図ることだ。
客数では稼げない状況がつづく。