Rewrite:2014年4月1日(火)
80対20の法則は、発見したイタリアの経済学者の名にちなんで「パレートの法則」とも言われている。知っていると便利な法則である。私も仕事が混乱してくると、『人生を変える80対20の法則』(リチャード・コッチ著)を読みかえすようにしているが、その中に「50対5の法則」というものがでてくるのでご紹介しよう。
「数量の拡大だけを追求していると、地獄に突き進むことになる。付け足しのような製品や顧客が増え、管理が複雑になっていく」
その実例として米国コーニング社をあげ、50対5の法則を指摘しているのだ。
50対5とは、顧客・製品・仕入れ先の50%は売上げ(利益)比率が5%以下に過ぎないという法則である。この50%の部分を取り除くことが複雑さを減らすカギになる。
全然利益にならないことに半分もの時間を割いているなんて信じたくないが、実際にあり得ることだ。
少なくとも次の項目について、売上高と利益高を調べてみよう。
・製品(サービス)部門別
・顧客別
・あなたの使用時間別
ある弁当店を例にとって、具体的に書いてみよう。製品(サービス)部門別とは、次のようになる。(金額単位:千円)
売上高/月 粗利益高 粗利益率 客数
・企業用(20食以上)弁当 20,000 11,000 55% 30
・企業用(19食以下)弁当 6,200 3,410 55% 125
・学校用弁当 2,100 945 45% 2
・委託給食 1,900 600 32% 2
・その他 800 700 88% 3
この会社では、3名の営業社員がテリトリー別で顧客管理をしている。あるとき月間使用時間を調べた結果、次のようになった。
一位:クレーム対応(19食以下企業) 35%
二位:顧客フォロー(19食以下企業) 20%
三位:新規開拓活動 15%
四位:顧客フォロー(学校弁当) 5%
五位:会議・ミーティング 5%
六位:資料作成 5%
七位:顧客フォロー(20食以上) 3%
八位:その他 12%
<合計> 100%
この二つのデータから何が読みとれるか。
1.ドル箱は企業用(20食以上)弁当である。なぜなら売上・利益ともに構成比が高く、営業社員による管理コストもほとんどかかっていない。多少のミスがあっても許容してくれる信頼関係がある。
2.19食以下の企業からはほとんど利益が出ていない。営業社員が割かれている時間の上位2つはここである。ひとつのクレームで右往左往するのもここの顧客である。
3.「その他」は露店販売部門への卸しだが、売上構成比こそ低いが利益貢献は高く、伸ばしていく価値がある。
この会社では経費を計算していないので50対5なのかどうかは分からないが、それに近い結果が出るのではないだろうか。
経営者は、「伸ばす」「増やす」「始める」ことに関心が偏りがちである。「減らす」「やめる」ことにも意識を払わないと生産性が伸びないのではないか。
「50対5」を肝に命じ、一度調査されてはいかがだろう。