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会いたくて一心不乱になる

会いたくて一心不乱になる

●「私(武沢)とランチを一緒に食べる権利をオークションにかけます。がんばって落札してください」
と呼びかけたいが、恥をかきそうなのでやめておく。

●今月90歳をむかえる世界屈指の投資家であり、大富豪でもあるウォーレン・バフェット氏は、ランチオークションを毎年行っている。
チャリティ目的だが、年々高騰する落札価格。
ランチ会場はバフェット氏がお気に入りのステーキレストラン。
90歳にして昼食にステーキ&コーラとは見習いたいタフガイさだ

●今年1月のバフェット氏とのランチを落札したのは、仮想通貨TRON(トロン)の創業者ジャスティン・サン氏。
落札価格はなんと460万ドル(約5億円)と過去最高額になった。
バフェット氏はブロックチェーンを評価しながらも仮想通貨に対しては酷評を続けてきた。
サン氏はランチの席でブロックチェーンだけでなく仮想通貨の魅力も大いにアピールしたことだろう。

●3時間あまりのランチ代金は515.05ドル(約5万7000円)で、サン氏は「460万ドルの寄付と515.05ドルの食事で、お金に換えられない学びを得た」とTweetした。

★バフェット氏とサン氏のランチ
https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/news/1233877.html

●バフェット氏とのランチオークションは2000年に始まっている。
初年度の落札者が誰なのか明かされていないが、落札額は2万5000ドル(約275万円)だったことがわかっている。
この金額なら私だって落札できたのにと思うが、20年前、本当にその勇気と気概があったかと問われると、うつむいてしまう。

●翌2001年は1万8000ドル(198万円)と落札価格が下がり、その翌年が2万5000ドル(275万円)で、その翌年の2003年から落札額が急上昇し始める。

さて、
・あなたが今、高額なお金を払ってでも会いたい人は誰だろう?
・その人に会って何を聞きたいか、あるいは、何を伝えたい?

その答えがスラスラ出せる人は成長途上にある人だ。
会いたい人が特にいないとか、会っても聞きたいことはない、なんていう人は成長が止まっている可能性がある。

●金はないが絶対あの人に会いたい。
16歳で高校を中退し、アメリカに留学した孫正義青年にはそんな人がいた。
レイクロックと交渉し、マクドナルドを日本に持ちこんだ藤田田氏である。
『ユダヤの商法』を書き、ベストセラーにもなっていた。
に感動した孫青年は夏休みに一時帰国し、実家がある久留米に帰っていた。
そこから連日、東京の藤田氏に電話を入れつづけたのだ。
だが、門前払いされる。

●孫青年は飛行機に乗った。
羽田空港に着いてから秘書に電話し、こう告げている。
「私は藤田さんの本を読んで感激しました。ぜひ一度お目にかかりたい。藤田さんがお忙しいことは重々承知しています。顔を見るだけでいいんです。三分間、社長室の中へ入れてくれればそれでいい。私はそばに立って、藤田さんの顔を眺めています。目も合わさないし、話もしないということなら藤田さんのお邪魔にはならないんじゃないでしょうか」

●それまで面会を拒み続けてきた秘書も、さすがにためらった。
孫青年はさらに一押しした。

「私が話した通りのメモをつくって藤田さんに渡してほしい。それでも藤田さんが『会う時間がない』と言うのなら私は帰ります。ただし秘書のあなたが判断なさらないでください」

●メッセージを秘書にメモしてもらい、電話口で読み上げてもらった。
てにをは間違いまで直させたという孫青年は、そのとき既に16歳らしからぬ根性をしていた。
「15分だけ会おう」
藤田田氏にそう言わせるのに成功した。
15分の面談でコンピュータの分野に進むべきだとアドバイスされ、孫青年の人生が決まった。
はるか後年、藤田田氏はソフトバンクの社外取締役にもなっている

(出典:『成功はゴミ箱の中に レイクロック自伝』)

●バフェット氏に会った人の多くはそれぞれの分野のトッププレイヤーだ。
レイクロックにアポをとり、「日本は俺に任せろ」と口説いてきた藤田氏。
その藤田氏にごり押しでアポを取った孫氏。
孫氏にあこがれ、一緒に風呂まで入った前澤氏は孫氏の会社にZOZOを売った。

●あらゆる障害をはね除けてでも会いたい人に会える人というのは、成功に必要な一心不乱さを兼ね備えている。