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有機的・組織的

7つの支店をもつ、あるスポーツクラブがある。かなりの好業績で地域での評判もよい。このスポーツクラブは、通常の会社と同じように、営業、教務、総務、人事の機能別組織がある。
さらにそれ以外に、6つのプロジェクトが常設され、支店や組織をまたいで人の交流がはかられているのだ。
どうやらこのプロジェクトチーム運営に好成績のヒントが隠されているらしい。

1.会員新規開拓プロジェクト・・・新規の会員開拓
2.会員満足向上プロジェクト・・・会員の定着率向上
3.品質管理プロジェクト・・・サービスの質を高め、維持する
4.新事業開発プロジェクト・・・新サービス・新メニューの開発
5.最適人事構築プロジェクト・・・スタッフの待遇方法を決める
6.業績管理プロジェクト・・・各目標数値の進捗確認

これらのプロジェクトチームは、月に1回から4回のペースでミーティングがもたれ、その議事録は「プロジェクト総括事務局」で一括管理し、自社サイトに公開されている。

事務局長を兼ねるI専務によれば、今のプロジェクトスタイルが定着し、機能するまでに5年の歳月がかかったという。それ以前は、支店ごとの事業部制で管理していた。だが、支配人(事業部長)の手腕によって著しく業績格差が生まれることや、運営方法にも差が出る。これではいけない、ということで今のスタイルを考案されたという。その結果、組織が活性化し、人の成長も早くなったそうだ。

このようなプロジェクトチーム方式を機能させるために大切なことは何かを質問してみると、三つの答えが返ってきた。

1.チームリーダーの資質
チームリーダーはコーチでなければならない。メンバー一人ひとりの感情と頭脳を活性化させるために最適な方法は、リーダ  ーが自説を主張しすぎてはならない。メンバーに考えさせ、意見を出させることが一番大切だ。
そのために、サブリーダー以上には、コーチングの技法を学ばせている。

2.目標の数値化
プロジェクトチームの種類やメンバーは半期に一度見直しされる。
プロジェクトが発足して真っ先にやるべきことは、目標を数字で設定すること。
目標を数値化しないで発足した過去のプロジェクトは、すべて失敗に終わっているという。

3.共有
お互いのプロジェクトが、有機的にかかわりがあるように運営しなければならない。営業は営業、教務は教務、というように  セクション分けされた発想を変えさせたい。それだけにお互いのプロジェクトが密接に関連し合って全体を形づくっているこ  とを分からせる必要がある。
そのために、活動内容の発表会が半期に一回ある他、活動成果の全社への普及を事務局長の専務に集約した。
自分たちのプロジェクトの成果が実際の業務に反映され、他の社員にアイデアが利用され、それが良い結果になることほどメ  ンバーのやる気を刺激するものはない。

I専務の話、いかがだろうか。私も大いに共感できた。

会社でも個人でも、目標や計画が有機的かつ組織的であることが大切なはずだ。さもなければ、いたずらな多忙と低生産性という異質の世界で仕事をすることになる。

私も幾つかの目標や課題を作っていくうちに自分でも混乱してくることがある。そんなときは、一人静かに「一人プロジェクト」を開催する。目標と計画を紙に書き出し、頭を整理するのだ。そして、各々の活動が有機的・組織的であるようにする。

有機的とは、互いに密接に関連し合って全体を形づくっていること。
組織的とは、それらが秩序をもっていることである。

頭と心を絶えずクリアに保つためには、目標と計画を最新の状態にアップデートし続けよう。それが有機的・組織的である条件ではないだろうか。