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「フラガール」と「全裸監督」の共通点

知人が熱く薦めるので映画『フラガール』をNetflixで観た。
2006年に大ヒットした映画だが、なぜか縁がないまま今日に至ってい
た。2時間のあいだに不覚にも三度泣かされた。これは一人で観るべき
だろう。

以下、ネタバレ含む。

昭和40年(1965年)、石油時代の到来で大幅なリストラに追い込ま
れた福島県いわき市の常磐炭鉱が舞台。父ちゃんも祖父ちゃんも炭
夫だった男性労働者が次々と職を失っていく。このままでは町がさ
れてしまう。
町おこし事業として立ち上がったのが「常磐ハワイアンセンター」
想。(現:スパリゾートハワイアンズ)その誕生から成功までを実
ベースで描いた作品だ。

「おめぇ、ダンスなんかやれんのけ?」
「だいじょうぶだ、ちっちぇ頃から毎年盆踊りやってっから」

そんな彼女たちがハワイアンダンスに挑む。東京からダンスを教え
きた先生役の松雪泰子は飲んだくれで親が借金まみれ。
炭鉱夫の娘たちは家族と自分を救うため、ハワイアンダンスに挑む
その代表が蒼井優、徳永えり、山崎静代(南海キャンディーズ)たち。
キャスティングは全員、ダンス未経験者を選んだという。基礎から
ンスをレッスンし、上達していく様子が観られるのもこの映画の注
点。映画を見終わるまで私はてっきりダンス経験者ばかりを選んで
るのだと思い込んでいた。

ラストは圧巻のフラダンスショータイム。
踊りを見事に決めた後の全員の号泣シーンは素の表情だろう。この
画で蒼井優が山崎静代と仲良しになり、今年になって相方・山里亮
と結ばれていくわけで、その伏線は13年前のこの映画にあった。

目を真っ赤に腫らしてエンドロールを見終わると、Netflixのホーム
画面にもどった。
すると「こちらもおすすめ」のコーナーがあり、そこに『全裸監督
を発見。日本を代表するAV監督・村西とおる氏の半生を描いた作品で、
村西役を山田孝之が好演していると話題の映画だ。

でもNetflixはどういうアルゴリズムで『フラガール』視聴者に対し
て『全裸監督』をおすすめするのだろう。
どちらも評価の高い映画という点で共通しているのだろうが、私は
の2作品のかくされた共通点を知っている。
それは、『フラガール』が福島県いわき市の物語であり、『全裸監督』
の村西氏は、福島県いわき市生まれである点だ。

「人生、死んでしまいたいときには下を見ろ!おれがいる」
そう豪語する村西監督は前科7犯、借金50億円を抱えていた。同時にあ
る日本一を三つも取っている。英会話教材販売売り上げ日本一に、
ニ本と裏本の制作・販売で日本一に、そしてAVの帝王として日本一に
なった。そんな村西とおる氏(71)の半生は熱量充分だ。

村西役を引き受けた主演の山田孝之は、実際に本人に会って話し
や物腰、表情などをじっくり観察し、役作りに活かしたという。
AVが舞台だけに過激なシーンが多いが、「人生でいちばん楽しかった
現場」と公言してはばからない山田は肝のすわった役者である。

民法ドラマの一本当たりのギャラは『ドクターX』(テレビ朝日系)
の米倉涼子(44)でトップで推定550万円といわれる。
『相棒』の水谷豊だってそれには及ばない。だが、今回の山田は米
に匹敵するギャラを取っているそうで、CMが減るリスクを恐れずに果
敢な役回りを演じている。
この作品はアジア全体で大ヒット中らしく、シリーズ1(全8話)の続
編制作がさっそく決まったという。

どちらにしても、いわきは熱い。