その他

ネットでの評判や人気、信用などをポイントにする

先ごろ結婚を発表した女優の中谷美紀さん。
”人生を100%生きた女”というキャッチフレーズに惹かれ、彼女が主演の『嫌われ松子の一生』を観たのは2006年のことだった。

中谷演じる川尻松子は修学旅行中に教え子が起こした窃盗事件を丸く収めるため、責任をかぶって教師をクビになる。
そこから彼女のすさまじいまでの転落人生が始まるのだが、ネタバレになるのでこの程度にしておく。
人間は自分ひとりで生きられない。
世間の評判・噂・人の目などが自分の人生を方向づけていく。

Netflixのドラマ『ランク社会』も現代を象徴するドラマのひとつだろう。
SNSでの人気や評価が数値化される未来社会。
友だちが多く、評価が高い人はプライム待遇を受けられる。
反対に評価が低ければ、雇用の機会を失ったり、自分が立ち入ることができる店や区画などにも制限がつく。
そんな薄気味悪い近未来の姿を映像化したものだが、ドラマの結末は少し意外だ。

「嫌われ松子」にしろ「ランク社会」にしろドラマの話なのでまだ他人事だが、中国で実際に始まった「信用ポイントシステム」はリアルの話なので笑えない。

献血やボランティア活動をするとポイントが増える。
夜遅くまでゲームをしていたり、レストラン予約を無断でキャンセルしたりすると信用ポイントが減っていく。
映画のような話が現実に始まろうとしているのだ。

★中国を変えた”信用格付けシステム”の怖さ(PRESIDENT Online)
→ https://president.jp/articles/-/26480

このシステムは2014年に中国国務院が発表したもので、2020年までに中国政府は国家規模での情報蓄積体制を整備し活用するという。

人の生き方を説いた儒教の国で、それをポイント制度によって国民に要求しようという試み。
とりあえず、品行方正で誠実であることが自分に直接のメリットとして返ってくることから死活問題としてマナーが向上したという中国国民。
映画ではなく現実の問題として国家レベルでの実験を注視したい。