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スキャニングとシュレッディング

有限会社がんばれ社長は、今年で28期になる。
9月から下半期に突入しているわけだが、おかげさまでたくさんの仕事のオファーをいただいて、ありがたいことだと思っている。
今年で64歳になったが、今なお快適なパフォーマンスができる仕事術・経営術を模索している。

我社の下半期最重要テーマは「捨てる」。
いわゆる断捨離(だんしゃり)の第一歩である。
元来が収集癖のある私は、とにかく買いたがるし集めたがる。
使いたいのではなく所有していたい。
本でもそうで、大抵は読みたいのではなく手元に置いておきたいから買う。
それが積もり積もってモノだらけになる。
快適になるはずのお気に入りのモノたちが散乱したり、ホコリをかぶることでストレスの元になってしまう。

そこでまず、モノを捨てることから始めた。
資料を捨てる、伝票を捨てる、旅先で買った土産、本、CDやDVD、買った教材、いただいた教材、パソコン内のファイル、仕事、売上げ・・・。
とにかく無駄だと判断したものは思いきって何でも捨て始めている

真っ先に取り組んだのが自宅にあるモノ。
衣類、靴、カバン、時計、下着、ハンカチ、タオル、食器、調味料、冷蔵庫の中味など基準を決めて全部捨てた。
家族全員で取り組んでいる。
独身時代に大枚はたいて買った愛着ある皮のコートはもう10年以上使っていないが、長年捨てられないままだった。
だが、デジカメでデータ保存することで踏ん切りがついた。

段ボール何箱分もの写真アルバムも全部捨てた。
子どものころのモノクロ写真、修学旅行、独身時代の交際相手、亡くなった親父の懐かしいスナップ、結婚式と新婚旅行、子どもの生育、運動会、家族旅行、大講演会で講演している自分の晴れ姿、貴重なツーショット画像…。
すべての写真を捨てた。

その前に全部スキャンしたのでデータは残っている。
資料や伝票も必要と思われるものだけをスキャンし、あとは全部シュレッダーにかけた。
オーバーヒートして止まるほど酷使した。
「捨てる」という取り組みはひと月やふた月で終わるものではない
今後も継続して捨てて捨てて捨てまくることになりそうだ。

モノを捨て終わったら、今度は学んだことを捨てねばならない。
自分で勝手に「コンテンツ」だと思い込んでいるものの多くは、古くて役に立たないシロモノである可能性がある。
後輩によく話して聞かせるウンチク話や武勇伝めいた体験談も、脳内シュレッダーにかけるつもりだ。

ドラッカーさんも「変わるためには捨てる能力を身につけろ」と『現代の経営』で強調している。
特に次の箇所が気に入っている。

・・・学ぶ力は、加齢によって低下しないことが明らかになっている。
しかし人は学べば学ぶほど、学んだことを捨てられなくなる。
したがって学ぶ能力とともに、学んだことを捨てる能力を身につけなければならない。・・・

「学んだことを捨てる能力」とは、実に意味深長な言葉である。
過去の経験と学習を後生大事にするのでなく、スキャンしてシュレッダーにかけよう。
そうすれば、そこにスペースが生まれ、新しいものを入れられる。