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万年筆余話

昨日号『三光堂でペンを買う』で万年筆のことを書いた。
さっそく関係者から何通かのお便りを頂戴しているので、その中から二通ご紹介してみたい。
まずは万年筆販売に力を入れているという地方文具店の T さんからのメール。

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人口減少が著しい地方都市で文具店を営む T と申します。
私で三代目の当主ですので、おそらく三光堂さんと同世代かとお見受けします
弊社も万年筆の普及には力を入れており、店頭に並んでいるものならどんな高額の万年筆でも試し書きに応じています。
それがリアル店舗の使命と差別化の鍵だと思うからです。
また、お年寄りが増えていることから、「写経」「日記帳」「終活ノート」「遺言書」などを万年筆で丁寧に書く勉強会を開催し、万年筆ファンを増やす取り組みをしております。
セミナーの後などはとくに、店内がお年寄りの茶話会の場所になっており、喜ばしいかぎりです。
最近はお孫さんの進学祝い、就職祝いに万年筆をプレゼントされる方が増えてきて、着実に成果をあげています。
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なるほど、地方都市ならではの地域密着、顧客密着戦略の好例だと思う。
万年筆を使う機会を増やし、ファンづくりに励んでおられる Tさんのお客さんはネットショップではなく、これからも T さんの 店を選び続けるだろう。

万年筆メーカーからもメールを頂戴した。パイロットコーポレーションの方である。
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昨日号の三光堂様のお話を読みメールさせていただきました。
我々万年筆メーカーの者といたしましては、大変うれしく思う内容でした。
ネット販売の業者様も我々の大切なお客様ですが、ユーザー様のこだわりや好みにマッチしたアイテムを提供するまさしくコンサルティング営業は、いろんな業界においてもこれからなくなることはなく、逆に人間が求めるものに益々なっていくのではないかと思います。
これは日本だけでなく、欧米や他国においても万年筆専門店の多くは三光堂様と同じようにこのコンサルティング営業力を発揮しておられます。
現在弊社は微力ながら、中国市場においてもこのような専門店が増えるよう日夜頑張っております。
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万年筆の歴史が長い欧米には専門店が多そうな気がするが、中国での専門店開拓、ご苦労も多そうだが、ロマンを感じる。

実は私にとって最初の万年筆はパイロット製品だった。
高校入学祝いで、当時盛んにテレビ宣伝していた『パイロットキャップレス』を親にねだって買ってもらった。
当時の大卒初任給が31,500円、ラーメンが一杯110円の時代にパイロットキャップレスは一本4,000円した。
今の貨幣価値なら6~7倍なので、24,000円~28,000円程度の万年筆である。
「キャップレス」とあるようにノックするだけでペン先が出たり入ったりする。
高校時代のノート取りはどれだけこの万年筆のお世話になったか分からない。

良い作り手、良い売り手、良い使い手があって市場が成立する。

万年筆マーケットはデジタル全盛時代のなかにあっても伸びているそうだ。
一過性のブームではなく、これからも万年筆が一定のポジションを確保しつづけ、業界が成長発展していくことを願いたい。