経営計画は毎年作っているが、社員の実行率がとぼしい。
何がいけないのか研修と会議を通して指導してほしい、と A 社から依頼があった。
そこで先月と今月、
それは、いままでの A 社の長所が短所になってあらわれているということ。
もともと人間の長所と短所は表裏一体である。
「気が長い」という長所は「のんびりし過ぎ」
「気が短い」という短所は「決断が早い」
A 社の場合、部下の自主性を重んじて、のびのびと仕事をさせてきたのが長所。
その結果、強制力には欠ける社風ができた。
長所のおかげで、経営計画の実行率は乏しくても、
A 社長はいつも穏やかで、まったく部下を叱責したり強制力を発揮しないのでそのことを質問してみた。
するとこんなことを言われた。
「だって人は他人に管理されたくないものです。
「やれ」ではなく「ボクだったらこうする」「
素直で優秀な若者は大企業に行く。
だが中小企業にはクセのある人材が集まってくる。
A 社長はそのことをわきまえておられるようだ。
B 社長は「うちの社員は自分の意見を言わない」と嘆いておられた。
そこで実際に B 社を訪問し、会議に参加してみた。
発言が乏しい理由が一発でわかった。
・お前、そんなこと言ってるからダメなんだよ!
・何度言ったらわかるんだ。
・なにが言いたいのかよく分からん。はい、次の人の意見は
社員が発言したことが社長や専務に大声で批判され、
ある課長など、「あなた何年うちにいるの」
発言できるのは役員から可愛がられている一部の人だけ、
この社風を変えないかぎり、
アメリカの Google が2012年から4年間かけて実施した大規模労働改革プロジェクトによれば、『
「心理的安全性」が大切なのだ。
成功するチームは、自分の意見が誰からも批判されたり、
それを「心理的安全性」という。
経験も知識も乏しい自分の発言には値打ちがない、
それ以外に、
「叱られる」「批判される」「否定される」「笑われる」「
おそらく B 社は「心理的安全性」が極端に低い。
それに対して A 社は「心理的安全性」が高い。
安全性が高いことは素晴らしいことだが、それだけで Googleのような良い企業が作れるわけではない。
「俺はオレ流でやらせてもらう」
発言は自由にできるが、
どういう行動で成果をあげようとしているのか、
経営計画にはその計画の方向性が記載されているはず。
そうしないのなら、