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損益マスタープラン その1

Rewrite:2014年3月30日(日)

企業体質とは三つの要素に分けて考えることができる。

1.収益体質(利益効率・・・生産性とコスト構造)
2.財務体質(資産効率・・・キャッシュフローと資産の効率)
3.社内体質(社風や人材など数字で表に出ない体質))

今回は「収益体質」について考えてみたい。

あなたの会社の収益体質が強いか弱いかは何を基準にすべきだろうか。簿記に基づいているかぎち、すべての会社が同じルールで決算書を作成している。その結果、異業種の企業でもまったく同じ書式に入れて体質比較することができる。それには、粗利益を100として各々の蘭を指数で表示していくとよい。

例えば、ここにある会社の試算表がある。ネットで入手したものである。粗利益(売上総利益)は、98億82百万とあるので、その金額を100とする。
次に経費の合計をみてみると55億39百万なので56.1%が経費に使っている。経費率としては他社と比較しても遜色ないほど低い。経費率が56.1%ということは、営業利益率は100-56.1=43.9%となる。粗利益の43.9%が営業利益とは大変立派なものだ。

納税充当金を差し引いた「当期純利益」は27.4%あり、トップクラスの数字だ。そこから配当や役員賞与などの利益処分をしているが、それでもなおかつ最終的な内部留保は23.6%あり、充分な高収益体質をもっていることがわかる。

この会社の数字を分かりやすく指数だけを四捨五入して並べてみた。

1.粗利益 100%

2.経費   56%
<経費の内訳>
・人件費  15%
・役員報酬 1%
・戦略費  14%
・償却費  1%
・一般経費 25%

3.営業利益 44%(100%-56%)

4.営業外損益  +3  受取の方が多い
5.特別損益    0  除却損や売却損など
6.納税充当金  -19  普通は税引前利益の半分程度
7.益金処分    -4
8.差引内部留保 24  会社内に蓄積される利益

この構造を理解した上であなたの会社の過去数年の実績を表にしてほしい。体質がどのように変化してきているか一目瞭然だ。そして今後、どのように強化していきたいかをまず指数で目標設定するのである。

売上高から仕入れや外注費などの合計(つまり「原価」)を差し引いたものを「粗利益」という。「荒利益」という場合もあるし、「売上総利益」などと呼ぶ場合もあるが、意味は同じである。

その「粗利益」によって人件費や償却費などの経費をまかなう訳だが、ここではあえて「粗利益を分配する」という考え方をする。なぜなら、出ていくお金は明確な意志をもって配分していると考えた方が実態に近いからだ。

粗利益を何に分配しているかというと次の通り。

1.社員への分配・・・人件費
2.経費への分配・・・一般経費(人件費と償却を除く)
3.再生産への分配・・・償却費
4.戦略分配・・・開発費や研究費など明日への先行投資
5.金融への分配・・・営業外損益(金利、配当、雑収入など)
6.安全への分配・・・除却損や廃棄損、貸し倒れなどの「特別損失」がいつ出ても良いように引当金を計上
7.経営者への分配・・・役員の給料やボーナス。人件費とは区分けして考える。これが乏しくては始まらない。
8.社会への分配・・・納税だ。税引前利益の半分を見ておこう。
9.投資家への分配・・・配当のこと
10.社内蓄積への分配・・・税引後利益から役員賞与と配当金を支払ったあとに残る利益

粗利益を100とすると、以上の10項目の合計も100になる。ならない会社は一社もない。

<明日につづく>

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