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脱・グレシャムの法則

Rewrite:2014年3月22日(土)

イギリスの財政家:トーマス・グレシャムが1560年にエリザベス女王に対して “Bad money drives out good.” (悪貨は良貨を駆逐する)と進言し、金貨の純度を元に戻すように訴えた。純度が低いイギリスの通貨のおかげで職務の遂行ができないと訴えたのである。
悪い通貨が良い通貨を駆逐することを後になって「グレシャムの法則」というようになった。これは通貨の問題だけでなく、あらゆることに応用がきく法則である。

◇優先順位の低い仕事は、高い仕事を駆逐する
◇日常業務は、改善業務を駆逐する
◇既存事業が新規事業を駆逐する
◇既存客まわりが新規客開拓を駆逐する
◇耳ざわりの良い話が耳の痛い話を駆逐する
◇成績の悪い部門(人)に割く時間が、良い部門(人)に割く時間を駆逐する
……etc.

要するに悪いものが良いものを追い払ってしまうわけだ。私たちも、今やっていることを定期的に点検しよう。

本来は会議やミーティングはそのために存在する。しかし本来の目的を見失って儀式のように進められる会議が多い。年に一回、半年に一回、四半期に一回、毎月一回、毎週一回、毎日、それぞれの頻度でチェックすべき事柄がある。問題が発生したから議題にのぼるのではなく、問題があろうがなかろうが定期的に議論すべきテーマがあるのだ。たとえば、次のようなテーマは是非とも社内で定期的に話し合ってみてほしい。

◇我社のビジネスモデルは今のが最善か
◇ライバル他社は最近どのような動きをして、どんな結果を出しているか
◇顧客や市場を開拓するための活動は今のままでよいか
◇顧客満足度は半年前にくらべて向上しているか
◇社員は活き活きと働き、存分に能力を発揮できる環境にあるか
◇社員の能力開発は進んでいるか
◇我社の収益、生産性、財務体質は計画にくらべてどのように推移しているか
◇我社の事業目的や経営理念に近づくために、何をすべきか、何をやめるべきか
◇同業種・異業種の成功企業から学ぶことはないか
◇いまから新規に事業を始めるとしたら、今の事業をするか

これらのテーマは、毎回の会議で取り上げる必要はないだろうが、ある一定頻度では議論していただきたい。
また、会議を活性化させるために、メンバーにも工夫を凝らそう。毎週、役員会議を開催しているある会社では、第四週だけ外部企業のメンバーが参加する。それだけで会議の雰囲気ががらりと変わる。また別の会社では、毎週の経営会議に中堅社員が順番で参加し、経営陣にも若手にも刺激を与えている。

会議の名称をありきたりのものから斬新なものに変えた企業もある。役員会議を改め「経営革新会議」、営業会議を改め「顧客創造会議」としたところもある。このように、組織全体がグレシャムの法則から逃れるためにアイデアを絞り、いつもみずみずしい会社であるように変革しつづけよう。