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「卓越」のライバルは「適切」

Rewrite:2014年3月22日(土)

適切・・・合格点のこと
卓越・・・人をアッと言わせる並外れたこと

NHKで放送された『コンビニを作った素人たち』を見たが、たいへん興味深かった。昭和49年5月15日、東京都江東区でセブンイレブン一号店がオープンした。今日のコンビニエンスストア時代の幕開けである。鈴木敏文氏を中心としたコンビニの仕掛け人もその当時はずぶの素人集団にすぎなかった。問屋による小口配送もなく、コンピュータを使った在庫管理という考え方もなく、すべて手作業と試行錯誤からスタートしたコンビニ一号店。成功にこぎ着けるには開店してから一年近くを要した。

あれから幾星霜、セブンイレブンジャパンは日本最大級の小売業となった。ハーバードビジネススクールで取り上げられる数少ない日本企業の一社にもなった。この間のあゆみをひとことで表現するならば「卓越」である。

どうしたら「卓越」になれるだろうか。

天才とうたわれたレオナルド・ダヴィンチでさえ、その広範な関心と才能にもかかわらず、絵画の分野でのみ「卓越」だった。経営の神様といわれた松下幸之助は経営においてのみ「卓越」だった。長嶋茂雄もプロ野球選手として「卓越」だった。皆、それ以外の分野では卓越でなかったし、「卓越」を期待されたわけでもない。ひとつに「卓越」すれば充分おつりがくるわけだ。

国語の意味で理解するなら、「卓越」の反対は「不出来」「凡庸」であろう。しかし、ここではあえて「適切」こそが「卓越」のライバルであると申し上げたい。

あなたが今、「卓越」のライン上にあるのか、「適切」のライン上にあるのか見分ける方法がある。小学生でもわかるその見分け方とは、「仕事中毒と言われるくらいそれに熱中しているか否か」である。
普通の仕事ぶりで一日を終え、毎週末にはゴルフやカラオケにでかける経営者に卓越を期待することはできない。卓越にいたるプロセスでは、狂気じみた仕事中毒・練習中毒を避けて通れないのだ。そして卓越の見返りはスケールが違うことをセブンイレブンを始めいくつの企業が教えてくれている。

早く卓越のテーマを見つけようではないか。