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飛躍のはじまり

最新の報道では、国内企業のなんと7割が赤字だ。また、新規開業率や廃業率も欧米に比べ、極端に低い。その意味するところは、混迷と閉塞であり、明るい未来社会を描くことができない企業経営者の多さを物語る。

その最大の理由は、ビジネスのルールがこの10年で大きく変わってしまったにも関わらず、それへの対応が出来ていないことだ。明治維新や大戦の終了のような、大きな区切りある時代変化ではなく、深く静かに潜行しつつある質的変化に気づかなければ大きく取り残される。

マガジン10/27号「成功体験の功罪」でも述べたが、過去の体験に基づいて今日の閉塞感を打開しようとしても無理だと認識すべきだ。
ルールが変わったということを再度検証してみると、

<廃棄されたルール>
・右肩上がりの経済成長というルール
・経営は信頼関係第一というルール
・業界内競争しかも国内競争というルール
・会社と社員とは運命共同体であるというルール
・銀行がいつも味方してくれるというルール
・苦しいときには経費の削減と、トップ自ら営業の陣頭指揮をとることで苦境を乗り切るというルール
・経営者にとって、個人と法人とは不即不離の関係。どちらも切り離して考えることはできない、というルール

<新しいルール>
・すさまじく成長する企業とすさまじく衰退する企業との二極分化(中間が存在しなくなる)というルール
・信用とのれんではなく、核になる技術・製品がなければ生き残れないというルール
・ネット社会に対応した戦略をもたないと足もとをすくわれるというルール(金融業・小売業・製造業がその好例)
・あなたの会社の敵も味方も国内企業とはかぎらない。外国にもライバルやパートナーは存在するというルール。(ある印刷の中小企業がアメリカから資金を調達した話は本にもなった。ある中堅住宅会社は中国から研修生を受け入れ技術交流と人材交流を促している。そうした時代にも関わらず、経営者の海外出張が少なすぎる)
・商売のうまさだけでなく、タフな頭脳と強い精神がトップに必要というルール
・事業からの撤退も重要な戦略。場合によっては廃業して新規に出直すことが最高の戦略という場合もあり得る。

このようなルール変更は、飛躍のチャンスととらえるべきだ。チャンスを活かすためには、そのための戦略が必要になる。人間であるかぎりは、ものを考えるときの「型」がどの経営者にもある。その型を飛躍指向に変える必要があるということだ。
飛躍の対極にあることばを漸進(ぜんしん・・・すこしずつ改良する)とするならば、漸進の発想を疑ってかかることだ。

捨て去るべき漸進の発想とは、
1.売上高の伸びは、GDPの成長ほどしか期待しない
2.原価率を毎年わずかずつ改善する
3.固定費も毎年わずかずつ削減していく
4.利益も財務体質も毎年わずかずつ改善していく
5.人材の退職もわずかだから、採用も毎年わずかにする

採用すべき飛躍の発想とは、「5年後には質量ともに、まったく別の会社になっていること」である。
もちろん3年後でも構わない。なかには、売上高を半分に減らし、利益を倍増させる会社があっても構わない。変化の内容は問わない。型にはまらないで考え、会社を革新するために『考え方の戦略』を変えることである。

もちろん日常業務は流れのなかにある。そのすべてを180度変える必要はない。そのプロセスの一部を変えるだけでも十分だ。
変化の体質を社内にうえつけることが出来れば、変化に向けた慣性の法則が働く。漸進の発想ではなく、飛躍のための考え方をもつことが今をチャンスに変える源である。