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顧客の要求水準 その1.2.3

Rewrite:2014年3月22日(土)

企業のマーケティング活動を要約すれば、見込み客を顧客に変え、顧客をリピーターやファンにすることである。
一方、顧客はお金を出して期待を買うという性質上、絶えず経済的・精神的リスクを負う。売り手と買い手との信頼関係はゼロから始まり、やがて得点を積み重ねて関係を強化していくわけだ。その結果が好ましければ、企業や製品はブランド化していく。

顧客が企業に対して要求することがらは業界によって異なる。
生鮮スーパーに対しては価格や鮮度、品揃えなどを期待する。水道工事店に対しては素早く親切な対応を、医者に対しては専門的な技能を要求する。しかし、こうした違いがあるにもかかわらず、共通の期待要素というものもある。しかも、それぞれ順番に信頼関係を獲得していくものだ。それを「要求水準」という言葉で表現するならば、私の仮説では、要求水準その1からその5まである。順を追ってみてみよう。

◇要求水準その1.「マナーを守る」
仕事以前の問題として、顧客に不快感を与えないための最低限のマナーを守ることだ。営業社員であれば、時間を守る、ウソは言わない、約束を守る、服装身だしなみを整える、などのことだ。飲食店や小売店であれば、清潔で快適な店内環境を作ることだ。

◇要求水準その2.「品質を守る」
顧客が期待する一定の品質をまず確保すること。ホテルのフロント、税理士、銀行、運送業などでは「正確さ」こそ品質の第一歩だ。これらの職業にとって、不正確さは致命傷となる。また、飲食業では「一定の味」だが、ファーストフードでは「一定の早さ」だろう。卸売業では「一定の納期」だ。要するに、これを失ったら当社の信用が失墜する、というレベルでの最低品質はたえず担保されていなければ競争相手に負ける前に自滅する。

◇要求水準その3.「便利なこと」
「あそこのレストラン美味しいよ」と言われても、残念ながら近くにその店がなかったら食べにいく機会は乏しくなる。顧客の側に近づくことや、顧客からみて敷居を低くする企業努力が必要だ。利用しやすいこと、注文しやすいこと、要望を言いやすいことが大切だ。深夜まで営業している銀行の現金引き出し機、電話一本ですぐ届けてくれる宅配ピザ、自分の荷物がいまどこにあるのか簡単に調べられる宅配会社など、顧客にとっての便利さを追求し、信頼を勝ち得ていく段階だ。

以上の「マナーを守る」「品質を守る」「便利なこと」の3つは差別化要因にはならない。しかし、この3つが揃っているところはそれほど多くはなく、これが揃うだけで勝ちやすくなる。ただ真似されやすいものでもある。したがってこれらの3つは必要条件であって十分条件ではない。
一度じっくりお考えいただきたい。「マナーを守る」「品質を守る」「便利なこと」の3つをあなたの会社にあてはめて考えるのだ。

<明日につづく>