Rewrite:2014年3月22日(土)
ディフェンシブな1~3の要求水準を満足させてこそ、次のステップへ進むことができる。いよいよ今日は攻撃の段階、その4と5である。
◇要求水準その4.「顧客の味方になる」
売り手と買い手という関係から一歩ふみこんで、買い手にとっての良きパートナーとして接することである。
小売業であれば商品構成と売り場作り、店員の接客を通して顧客が望む情報を提供する。ワインバーなら、グラスワインに力を入れて多くのワインを楽しませる。レンタルショップであれば、レンタルランキングを公表したり、店長のお薦めラベルを貼って情報を提供する。CS(顧客満足)で有名なアメリカの百貨店「ノードストローム」では、クロスセールスとよぶ販売を行う。スーツを作りたいという顧客には、担当の店員が一緒に店内をつきそい、Yシャツからネクタイ、ソックスから靴にいたるまでコーディネートしてくれるのだ。スラックスのウエストサイズ変更が永久に無料のスーツ店、永久保証の腕時計、レシートなしでもいつでも返品OKの小売店、店内のすべてのCDが無料で聴けるCD店など、顧客の味方になるための方法は無数に存在する。「顧客の味方」「顧客への提案」ということばを唱えるだけでなく、具体的な仕組みでそれを実現することが大切だ。しかも徹底的に味方になることだ。
◇要求水準その5.「期待を上回る」
ディズニーランドでは、毎年社員を表彰している。数年前の最優秀社員は学生アルバイトだったそうだ。それは、雨の日に女性ゲスト(顧客)が回転木馬に乗る際に、ひざまずいて自分の膝を貸し、手助けした行為を表彰したものだ。期待もされていないほどの対応、しかも自分のフィアンセですらしてくれそうもない対応をされたとき、人は感動する。ある設計事務所では、ある業界経営者に向けたFAX新聞を毎月発刊し、その莫大なコストと引き替えに、業界ナンバーワンの知名度を勝ちとった。
これらすべては、何かのものまねではなく、徹底して顧客の側にたってサービスを考える熱意ある企業リーダーの存在が背景にある。
例をあげて、おさらいしてみよう。あなたの家族に病人が出たので医者へ行った。そこであなたが期待することは何かを思いだしてほしい。
1.受付で不快な応対をされたくない(要求水準その1「マナーを守る」)
2.長時間待たされたくなく(要求水準その3「便利なこと」)
3.親身になってみてもらいたい(要求水準その4「顧客の味方になる」)
4.自分にわかるように病状と処置を説明してほしい(要求水準その4「顧客の味方になる」)
5.私生活で注意すべきことなどを助言してほしい(要求水準その5「期待を上回る」)
ということになる。
初めて行った居酒屋では、次のようになる。
1.キビキビした店員と清潔なお店であってほしい(要求水準その1)
2.豊富なメニューに妥当な価格で注文したい(要求水準その2)
3.注文したいときにすぐに来てほしい(要求水準その3)
4.オススメ品や人気メニューなどを教えてほしい(要求水準その4)
5.味か価格かサービスで意外性を発見したい(要求水準その5)
これらすべてを満たすことで、顧客は一回の訪問にも関わらず、この居酒屋のファンになり次回は友人を連れてやってくる。その時にも同じ感動を味わうと、顧客と企業の信頼関係はますます強固なものへと発展していく。このように、顧客満足を高めるということばの背景にあるものを理解し、各要求水準をクリアしていくことが求められるのである。