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キャッシュフローに強くなる その1

Rewrite:2014年3月22日(土)

「勘定あって銭足らず」、たしかに帳面上では儲かっているのに、支払いができない、ボーナスも払えない、手形が落とせない。
困った!
でも勘定があっている(黒字)のだから、銀行さんに頭を下げて、当面の資金繰りで乗り切ろう。金策能力は社長の腕のみせどころだ!

このような経営が20世紀型中小企業のひとつのパターンだった。経済全体が右肩上がり、土地も株も右肩上がり、そんな時代だから通用した借金経営も、今では通用しない。フリーキャッシュフローを増やすべく、自前でそれを管理する時代なのである。

上場企業などの大手では2000年3月期よりキャッシュフロー計算書の提出も義務づけられた。損益計算書+貸借対照表+キャッシュフロー計算書の3点セットになったわけだ。中小企業では提出義務はないものの、その重要性から考えて、作成されることをオススメしたい。

仮にあなたが、戸板一枚だけで商いする魚の行商人で、仕入れも販売も経費も全部現金だとすれば、損益計算書の利益は、そのままキャッシュフローの増加につながる。なぜならお金とモノとがいつも同時に動くからだ。
しかし、あるていど規模が大きくなると、お金とモノが同時に動かなくなる。仕入れの支払いは一ヶ月後にしてもらったり、掛け売りで販売したりもする。パソコンを現金で買って減価償却もする。銀行からお金を借りて、返済もする。このように、お金とモノとが同時に動くことが少なくなり、タイムラグ(時差)が発生すると実態が読みづらくなってくるのだ。一時的に現金が増えただけで好調だと錯覚することにもつながりかねない。
経営にとって一番大切なキャッシュを把握し続けるために「キャッシュフロー計算書」を作る必要があるというわけだ。

ここで言う「キャッシュ」とは、現金とその同等物を指す。「現金」とは、手元現金+普通預金+当座預金+通知預金など、自由意思で現金にできるものの合計。「その同等物」とは、定期預金や公社債投資信託など容易に換金可能なものを含む。以上の総合計をキャッシュと呼び、その計算式の骨組みは次のように簡単なものだ。
「期首のキャッシュ+期中のキャッシュ増減=期末のキャッシュ」

さらにわかりやすく把握するために、次の3つの区分に分けて作られることになる。
1.営業キャッシュフロー・・・営業活動によるキャッシュフロー
2.投資キャッシュフロー・・・投資活動によるキャッシュフロー
3.財務キャッシュフロー・・・財務活動によるキャッシュフロー

この3つのキャッシュフローに分けることによって、経営者は客観的な目で自社を再評価することができる。

経営者にたえずつきまとう不安や迷い、たとえば、

・当社の取引決済条件は甘すぎるのではないか?
・今予定している設備投資は、来期以降の資金繰りにどう影響するか?
・銀行からあといくらまで借りても大丈夫だろうか?

これらのことの大半は、キャッシュフロー管理をマスターすることで解決していく。

<明日につづく>