Rewrite:2014年3月22日(土)
昨日はキャッシュフローでも3つの側面があることをお伝えした。それは、
1.営業キャッシュフロー・・・営業活動によるキャッシュフロー
2.投資キャッシュフロー・・・投資活動によるキャッシュフロー
3.財務キャッシュフロー・・・財務活動によるキャッシュフロー
の3つであった。今日は、それぞれについて述べる。便宜上、キャッシュフローのことをC/Fと記す。
営業C/Fとは、本業で獲得したキャッシュの増減のことをいう。3つのC/Fの中で一番大切なものである。計算式は、直接法と間接法の二種類あるが一般的につかわれている間接法をご紹介する。
営業C/F=経常利益+減価償却-支払い税金-役員賞与-売掛債権の増加-棚卸資産の増加-その他資産の増加+買掛債務の増加+その他債務の増加である。
投資C/Fとは、本業以外での投資活動でのキャッシュ増減をさす。例えば、土地、建物、車両などの資産購入や資産売却などでのキャッシュ増減を計算する。
財務C/Fとは、借入金の増加や減少、増資、社債の発行や償還、配当の支払いなど文字通り財務活動を通じてのキャッシュ増減をさす。
以上3つの総合計がC/Fである。
財務C/Fは、借入金の増加や減少など、本業と投資を補う役目があるので、社長として絶えずマークすべきものは「営業C/F+投資C/F」である。この2つの合計のことを「フリーC/F」という。
今から一番大切なことを申し上げる。フリーC/Fを毎年プラスにすること。その一点に全勢力を注ぐことである。
つまり、フリーC/Fがプラスであって初めて財務は好転し始める。フリーC/Fが常時マイナスであれば、今すぐ手術を開始しないと会社の存続が危ぶまれるのだ。フリーC/Fがプラスであれば、借入の返済が進むほか、設備投資などの資金も自前でまかなうことが可能となる。設備投資をした直後など、過渡期においては以下のようなケースになることもある。
ケーススタディ 1年度 2年度 3年度 4年度 5年度
1.営業C/F 100 130 150 175 190
2.投資C/F ▲500 ▲100 ▲70 ▲70 ▲70
3.フリーC/F(1+2) ▲400 30 80 105 120
この例の場合、初年度に大きな設備投資をし、2年度にもわずかの投資を行い、3年目以降は維持費程度の投資にとどめた。その投資回収が年々すすみ、毎年C/Fが好転していっている。この例の1年度のように、承知の上で、フリーC/Fをマイナスにすることがある。それ以外では、フリーC/Fがマイナスになることは異常事態と考えるべきだ。
フリーC/Fをプラスに。この原則にこだわっていくと、おのずと設備投資金額の目安についても分かってくる。それは、「投資C/Fは、絶えず営業C/F以内にとどめる」というものだ。上記ケーススタディのように、何年かに一度という設備投資の場合は例外だが、毎年のように「投資C/F>営業C/F」という状態が続くと、財務は弱体化する。
どの程度のフリーC/Fを稼ぎ出せば優秀なのか?という目安もある。
A社はフリーC/Fが年間で1000万円、B社は300万円という場合、単純に金額をみればA社が優秀ということになる。しかし、純利益に占めるC/Fの割合を評価すべきだ。この割合のことを「自由資金比率」という。
仮にA社の税引後純利益が3000万円だったとしたら、自由資金比率は0.3だ。B社の税引後純利益が300万円だとすると、自由資金比率は1.0となる。この場合、C/Fの体質はB社の方が優れている。
明日はシリーズ最終回として、フリーC/Fがマイナスの会社がやるべき手術について考えてみたい。