Rewrite:2014年3月22日(土)
「試算表」と呼ばれる月次決算書は、普通2つの面から経営成果をとらえている。
一つは、フローとしての「損益計算書」
もう一つが、ストックとしての「貸借対照表」である。
損益計算書は個人の家計簿に近いもので、一定期間内の収支明細を計算している。貸借対照表とは、ある時点での会社の財産・負債状況を一覧にしたもので、財産目録のようなものといえる。
損益計算書の中味はいたってシンプルだ。
1.売上高
2.原価(仕入れや外注費)
3.粗利益(1-2)
4.経費
5.営業利益(3-4)
6.営業外損益(雑収入・雑損益など、営業活動以外での損益)
7.経常利益(5+6)
8.特別損益(資産売却などにともなう利益や損失)
9.税引前利益(7+8)
10.納税充当金(法人税や法人住民税など、おおむね「9」の金額の四割)
11.税引後利益(9-10)
12.利益処分(「11」の利益を配当や役員賞与に使う場合)
13.当期純利益(11-12)
となっている。ただし、10番以降は決算時だけしか発生しないので、月次では9番までとなっている。利益だけでも3、5、7、9、11、13、の6種類あるので社内で混乱しないでいただきたい。
貸借対照表の中味もこれまたシンプルで分かりやすい。左側が「資産の部」と呼ばれ、会社の財産目録だ。右側が「負債ならびに資本の部」と呼び、金の出所が並んでいる。どんなことがあっても右の合計と左の合計は一致するので対照表と呼ぶ。
財産目録が並ぶ左側は、換金性の高いものから順に書かれている。従って、現金や預金、売掛金や在庫などからはじまり、下の方にいけばいくほど、換金に時間がかかりそうな財産が並ぶ。土地や建物、車両や保証金などだ。
金の出所が並ぶ右側は、財産を作るにあたってどこから資金を調達したかがわかる。これまた、支払い日が近いものの順番に並んでいる。買掛金や支払手形、短期借入金などは一年以内に返済しなければならないので、「流動負債」という。一方、長期借入金などは、一年以上かけて返済するので「固定負債」という。
その下は、「純資産の部」と呼ばれ、返さなくても良い自己資金だ。明細は、資本金や過去の「当期純利益」(上記13)の蓄積だ。
試算表の中味はたったこれだけのことなので、関心をもって見つめ直してほしい。
そして、「たったこれだけ」でありながら、その意味するところは実に奥深いことにも気づこう。
上場企業の決算発表が集中する5月ころになると、日本経済新聞で「決算特集」が組まれる。もちろん、損益計算書と貸借対照表が公表されるのだが、知人の経営者は、それを見ることが趣味だという。経営活動の一年間の歩みや経営者の意図が手にとるようにわかり、小説より面白いそうだ。私はそこまでの趣味はないが、縁のあった会社にはまず決算書をお見せいただくことが多い。
数字に興味を持つことがたいへん重要だ。
そうすれば数字で目標を作ることができる。数字で我社の経営課題が見つかる。部下とも数字を土台にした会話が始まる。
さて、次回はキャッシュフローについて考える。