がんばれ!社長が発行する月刊誌「社長最前線!」(PDF)では、読者からの質問メールに返答するコーナーがある。
まだあまり多くの質問が届いていないので、いまのところほぼ100%の返答率を誇っている。今年も新年早々、こんなメールを頂戴した。
本来は「社長最前線!」紙上だけで返答するのがスジなのだが、今日は特別にメルマガでも共有してみたい。
質問:
幹部の中から「ナンバー2」と言えそうな人がなかなか現れません。
本来なら息子に期待すべきですが、息子の言動をみているかぎり、複数の幹部が横一線という状況です。事実、年齢もキャリアも皆、横一線なのです。
どうすればもっと私(社長)に近い立場で私をサポートしてくれる人が育つのか、お知恵を拝借できればありがたいです。
武沢の回答:
「経営人材が育たない」「トップとナンバー2の間の溝は深く、借金を背負わせないといけないのだろうか?」などの話を各地で聞きます。
息子に多額の借金を背負わせれば本気になれるかというと、私は疑問に思います。今日はもっと良い方法をお教えしましょう。
それは「ナンバー2」を明確に決めるということです。専務、常務、部長、といった役職で何となく将来の期待をにおわせている会社が多いもの。役職名は何でも構いませんが大切なことは、トップもナンバー2自身も明確にナンバー2を自覚すること。
決めるにあたっては、次の五つのことを本人に明確に伝えてください。
1.ナンバー2の最大の使命は社長を補佐することである。意外にそれを自覚していないナンバー2が少なくない。
2.社長が考えていることを社内に周知徹底させるのがナンバー2の仕事なので、社長に反論したいときは社長の前だけでそれを言う。
3.トップとナンバー2は一枚岩であること。
いついかなる時でもトップの悪口や不平不満、グチを言わず、トップを悪者扱いしないこと。
トップもナンバー2が孤立しないようしっかりサポートすること。
4.ナンバー2としての仕事を全うできた人が次のトップになることができる。
5.長男である(息子・娘である)ことは、必ずしもナンバー2の立場を保証するものではなく、あくまでチャンスを与えられるだけのことである、ということ。
もう少し具体的に言うなら、「汚れ役」「嫌われ役」をさせることです。人間として嫌われるのではなく、社員にとって耳の痛いことを平気でリクエストでき、自らも率先垂範できることです。
それを繰り返すうちにナンバー2人材は社長寄りのスタンスで考えるようになり、周囲もそのような目でその人材を見るようになるのです。
こうしたナンバー2がいる組織は強くなります。
たとえば定例会議が10分遅れでスタートしたとしましょう。
遅れた理由は社員が揃わなかったから。そんなとき、いままではどうしていましたか?
社長が遅刻を注意しているようでは組織として失格です。誰もおとがめなしというのも問題です。
そんなとき、ナンバー2が「次回から時間は必ず守って下さい」と言える会社は成長します。
「どうして私がそんなことをせねばならんのですか?」と言うような人であれば、それはナンバー2の適任者ではない証拠です。
あるいは、適任者なのにトップであるあなたとの信頼関係に問題があるときも、それを解決するまではナンバー2に据えるべきではありません。
本当にナンバー2たり得る人は、「わかりました。やってみます」と、すすんでそうした役を買って出るものです。
社長をリスペクトし、誰よりも社長の考えや方針を理解している人をナンバー2にしてください。そうでない人を据えると、会社の中は抵抗勢力だらけになります。