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グレートフル・デッド

音楽通なら知っているクイズ。

ビートルズやローリングストーンズが世界を熱狂させた1960年代。
まったく同じころ、アメリカで熱狂的なファンがいたロックバンドがある。そのグループの名は何か?

正解は「グレイトフル・デッド」。(以下、略して「グレデ」)
辞書を指さして決めたバンド名なので、深いメッセージがあるわけではない。1995年8月に主要メンバーが亡くなり正式に解散したが、残ったメンバーで再結成されるなど、いまだに活動が続けられている長寿バンドである。

私にグレデを教えてくれたのはマーケティングの専門家で、とにかく型破りのマーケティングで成功したバンドらしい。
大したヒット曲もなく、スタープレイヤーもいないのに、グレデのファンは熱狂的で、通称「デッドヘッズ」と呼ばれている。ヘッズたちはコンサート会場を追っかけてまわり、新しいグッズがでると無条件で買う。グレデの成功はマーケティングのおかげ、とその専門家が断言するほど。

バンドとファンとの間の距離が滅法ちかいのが彼らの特徴。
そうした関係をつくるためにグレデが実践してきたことは、普通の音楽バンドとは真逆といえる。
ライブ会場での楽曲は録音し放題。ステージ近くにファンのための特設・録音スペースが設けられている。テープのコピーや配布も OK。
写真も動画も取り放題という、ある意味、非常識なマーケティングによって成功してきた。その結果、ビートルズやローリングストーンズ並に稼いだというからすごい。

録音され、コピーされ、それを拡散されたり YouTube にアップされたら収入が減る、と思うのが音楽業界の常識。
ところが、彼らの発想はちがう。コピーされ、それが拡散されることで知名度の低い自分たちの知名度が上がる。しかも音質の悪いライブ音声を聞いて気に入ってくれたファンは必ずスタジオ収録版を買ってくれるという読みがあった。さらには、ライブに来てくれ、グッズを無条件で買ってくれるファンになるということも知っていた。
そうしたファンを育てるために、バンドメンバーが手作りで会報誌をつくり、ファンに郵送を続けた。
彼らはバンドマンであっただけでなく、マーケターとしても優れていたのだ。

私たちの周りには「録音・録画禁止」「撮影禁止」「○○禁止」といった注意書きをよくみる。映画館では毎度毎度、うるさいぐらいにそれを見せられる。講演やセミナーに行ってもそうだし、カフェやレ
ストランの中にもそうした店が多い。
禁止しないとどうなるのか考えてみる必要があることを教えてくれたのがグレデである。

私も最近、セミナーなどでこう申し上げている。

「最初にお断りしておきますが、セミナー中の写真撮影、録音、録画、およびネットでの公開などは、遠慮なくどうぞ」と。
受講者はみな笑う。だが、私がそう言っているのに、撮ろうとしない人が多いのが癪ではあるが…。実際、私はすべて OK にした。

このグレデ、関連書籍も出ているので気になる方はご一読あれ。

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