Rewrite:2014年3月30日(日)
ある事務スタッフが懇親会の席で上司に訴えた。
「毎日の商品仕入れを私が手計算でやっているのですが、コンピューター化できませんか?」
すると上司は驚くべきことを言った。
「ほぉ、そうか。君がその仕事をやってくれているんだ?」
彼女は愕然とした。部下が何をしているのか知らないとは。「その分は私の給料に反映されていないの?」と言いたくなったそうだが、当然であろう。
会社の中では皆、忙しそうにしているが、仕事の重要度や難易度、ボリュームなどは各人まちまちだ。特にホワイトカラーと呼ばれる知識労働者の仕事は直属上司ですら把握していないことがある。
・人事部門
・経理財務部門
・総務庶務部門
・研究開発部門
・社長や専務などの経営専任職
仕事の重要度や難易度をポイントに換算していけば良い。そのひとつの方法として「ジョブサイズ」というものがある。
ジョブサイズとは、仕事の重要度や難易度を総合的に考慮し、5段階~10段階でランクづけする。仮に5段階であればJ-1からJ-5までとなり、J-5が一番高いポイントになる。話を具体的にするために、営業担当役員の評価を例にとってみよう。
1.今期業績の達成 (J-5)
2.新たなマーケティングチャネルの創造 (J-4)
3.顧客満足度の評価測定方法の考案 (J-3)
4.2年以内に後任人材の育成をする (J-2)
5.部門全体の人材育成とモティベーション管理 (J-1)
評価の段階では、各々の項目に対して「達成率」を掛けていくことになる。その達成率も5段階程度でランク分けする。
1.110%以上の達成 (A-5)
2.100%以上の達成(A-4)
3.90%以上の達成(A-3)
4.80%以上の達成(A-2)
5.70%以上の達成(A-1)
「A」とは、アチーブつまり達成を意味する頭文字だ。
わかりやすくするためには、すべての仕事に点数を付けることだ。難易度と重要度に応じて、仕事の点数は違うはずである。例えば、次のようになる。
<ジョブサイズリスト>
・全社の経営戦略の策定・・・100点
・新規事業の立ち上げ成功・・・100点
・業績目標の達成・・・難易度に応じて50~100点
・人材の育成・・・育成すべき人に応じて50~100点
・新製品の開発・・・50~100点
・新・賃金制度の設計・・・50点
・個人営業目標の達成・・・50点
・公的資格の取得・・・25点
・月次決算を一人でこなせる・・・15点
・電話応対・来客応対ができるようになる・・・5点
・・・etc
この場合は100点を最高点にしたが、とらわれる必要はない。こうしたリストを完成させるには、まず部署単位でリストを作り、最終的には経営会議で点数を決めることになる。
これらの結果、社長のジョブサイズは1000点、専務は700点、営業部長は500点、新入社員は100点というように、責任に応じてジョブサイズが変わる。責任の重さは点数の重さと比例する。
5等級社員(役員クラス)・・・ジョブサイズ基準値700点
4等級社員(部長クラス)・・・ 〃 500点
3等級社員(課長クラス)・・・ 〃 350点
2等級社員(主任クラス)・・・ 〃 200点
1等級社員(一般社員クラス)・ 〃 100点
あとは、その点数に対する達成率が問われる。
職能資格制度などで、すでに社内に格付等級がある場合は次のように基準値を設定し、その値に対してどの程度上回ったか、下回ったかで5段階評価される。
ジョブサイズに基づく評価制度の精神は、目標を達成するためにある。我社の主要な経営課題は、すべて誰かが責任をもって取り組んでくれていることを確認せねばならない。
従って、毎年個人ごとのジョブリストは変えるべきで、等級ごとに共通の評価表は不要になる可能性がある。個人の目標や責任、それがそのまま評価表になるようなシステムこそ変革期の会社には求められているものである。