※社名・個人名は仮のものですが、内容はほぼ事実。敬称略。
「俺の会社を買わないか」と父の方から言ってきた。
佐久間設備株式会社の佐久間太朗社長(33)
「会社を買うってどういうこと?」
「幸か不幸か内部留保がほとんどないので、
「え?」
「あとは俺と社員を部下として使えばいい」
「500万円もないけど」
「金の心配はいらない。銀行を口説いて融資を取り付けるから」
こうして父の会社を買収した佐久間は、自分の会社(社員5名)
「成長をお金で買える M&A っておもしろい」
そう実感した佐久間は今、M&A 意欲が高い。あえて銀行や M&A専門会社を介さない。独自でアタックする佐久間のやり方は独特だ。
「どうやって M&A すべき相手を見つけるのですか?」と尋ねるとこんな答えがかえってきた。
「いたってシンプルですよ」
銀行や信用調査機関と接触し、
そういう会社は必ずある。
「どうやってアプローチしますか?」と私。
「それもいたってシンプルです。
「相手の社長は気分よくアポに応じますか?」
「今接触中の会社は、
以下、ホテルのロビーで会った時のやりとり。
佐久間:
相手:ふざけんなよ。商売敵(がたき)
ピリピリした空気だった。
よろしければお飲み物とサンドイッチでも召し上がりませんか?
という佐久間の提案を受け入れた相手の社長は「でもあんた、
佐:はい、33歳になりました
相:俺の息子みたいなもんだな(初めての笑顔)
佐:知らないことだらけの若輩ですがよろしくお願いします
相:俺の会社を買いたいらしいが、売るつもりはないよ
佐:はい、結構です。私も絶対買いたいだなんて思っていません。
相:ふ~ん。で、あなたは設備業は何年やってるの?
佐:社会人になってからずっとですから10年になります。
相:俺は経営を15年もやってるよ。少々おつかれ気味だがね
佐:15年もよくやってこられましたね
相:なになに、まじめにやるしか取り柄がないから。
佐:お子さんとかはあとを継がれないのですか?
相:
結局、この日の会談は3時間に及んだ。
「次は俺のテリトリーで飯でも食うか」
「その日は車を置いてうかがいます」と答えた佐久間。
この話は現在進行形なのである。