9月の失業率が5.3%に達したが、それでも尚、企業が抱える潜在的余剰人員は百万人を越えると言われている。それを証明するかのように、日本企業の労働分配率は、ずっと70%程度で推移し、減っていない。リストラしても企業の収益体質は改善していないのだ。
それは何を意味するか・・・リストラのスピードと収益悪化のスピードがほとんど同じで進行しているということだ。
つまり、まだまだリストラの余地が残されていることになり、失業率が今後、さらに悪化する可能性が高い。
その反面、優秀な人材を集めたいという企業のニーズはますます高い。
プロ野球ドラフト会議が終了した。たかが高校生投手ひとりのためにプロ野球4球団が、リスクを冒してでも抽選に挑む。一軍枠25人程度の中の一人と考えれば、社員数25人の経営者が一人の人材を求めるために自宅まで訪問する行為は何なのだろう。異常とも思える熱心さだが、それほどに即戦力人材には価値があるのだ。
二軍、三軍の選手を含めれば70名近い選手がいるので、70名の会社の社長がそこまでして人材獲得に奔走しているだろうか。しかも複数のスカウトスタッフを抱え、何年もかけて調査と接触を重ねる。そして、毎年数名を獲得する。それは、強い集団を維持するための当然の企業努力なのだ。
民間企業とプロ野球を単純に比較することはできないが、人材が全てを決めるという点では変わらないはずだ。
今までやってきた採用活動をふり返り、中長期の視点で採用戦略を見直してみよう。
採用戦略を立案する、とは、次のことをさす。
1.事業計画を作る。
2.できれば、年度ごとの目標組織図も作ったうえで、要員計画を作る。その際には、社員の離職率も考慮する。
3.その結果、年度ごとの採用人数が明らかになる。
4.採用するスタッフは、正社員かパート社員かを決める。
5.社員は、中途募集か新卒募集かを決める。
明確な意志をもった「中途募集第一主義」も悪くない。教育済みの社員を集めることで即戦力を期待しようというわけだ。
また、企業として最低限のインフラ(基盤)がなければ、新卒学生を受け入れることも困難だろう。
しかし、事業計画がないことによって場当たり的な中途募集ばかりを続けていては明日が開けない。
よって、事業計画や要員計画をもつことが何よりも先決課題となる。
明日は新卒採用について考えてみたい。