Rewrite:2014年3月21日(金)
ある経済誌で、つぎのようなレポートをみつけた。
その会社の管理職は、いわゆる「やり手営業部長」のよびごえ高く、一人で何役もの仕事をこなしてきた。彼のいない営業部門はありえないと誰もが信じていた。ところが、この部長は、家庭の事情で半年先には会社を辞めざるを得なくなってしまう。
後任者のメドもたたないので、部長の仕事をすべて解体し、部下に権限委譲を開始した。ところが家庭の事情が変わり、結局この部長は退職する必要がなくなった。すでに自分の仕事をすべて部下に引き渡していたため、自分に新しい仕事を見つけない限り、会社に残る理由がなくなった。結果的に、この部長は会社にとどまることが出来たわけだが、このレポートの著者はこう結んでいる。
「半年先に会社を辞めることになって、自分の仕事を引き継ぐ者がいないと想定する。そして組織を見直し、自分の仕事を部下に任せる。それから自分はどうしたら新たな貢献ができるかを考える。この過程を引退するまで何度でもくり返す。そんな会社でないと成長できない。」
私も、これによく似たケースをいくつか目撃してきた。
あるメーカーに、年収1000万に近い技術部長がいた。技術については社内の誰よりも詳しい。しかし、肝心の製品開発で成果がでない。過去3年間、新製品を開発できない状態が続いた。そこで、業を煮やした社長は、「今年中に、新たな開発ができなければ、来年から技術部門はアウトソーシングする」と宣言し、そのアウトソース先企業も発表した。するとこの会社、その後半年間で3つの開発案が提出され、1年で2アイテムをリリースすることができた。
別の会社の経理部長は、数年間ものあいだ経理マニュアルの作成が重点目標であり、若手社員だけで月次決算が作れることが課題であった。しかし、なかなかマニュアル作りは進まず、部長がひとり仕事をかかえて獅子奮迅のはたらきが続いた。
ところが、この部長は友人の会社設立に参加することになり、3ヶ月後に退職が決定した。退職時にはみごとな経理マニュアルが残っていた。
私たちが、いろいろな理由をつけて一日延ばしにしている仕事に、思い切った時限爆弾を仕掛ける必要がある。