「マンダラ手帳」(クローバ経営研究所)では、「健康」「仕事」「経済」「家庭」「社会」「人格」「学習」「遊び」の8分野で目標設定しようと教えている。
また、アメリカ発の自己啓発教材「SMI プログラム」(ポール・マイヤー著)は、「経済職業面」「家庭家族面」「健康身体面」「精神倫理面」「教養教育面」「精神文化面」の6分野だと説いている。
20代、30代はSMI を勉強し、40代以降はマンダラを勉強してきた私は、人生分野ごとに目標設定する習慣がついた。
だが、いまだに「社会面」と「人格面」の目標設定はむずかしく、どんな目標を書けば良いのやらと腕組みしてしまう時がある。
そんなある日、「TED」でハーバード大学の医学部臨床教授であり、「ハーバード成人発達研究所」の第四代所長でもあるロバート・ウォールディンガー氏が「史上最長の研究が明かす 幸福な人生の秘密」と題してスピーチを行っているのを見た。
「ハーバード成人発達研究」は史上最も長期に渡って成人を追跡している研究だそうだ。1938年からの75年間、724人の男性を追跡し、休むことなく仕事や家庭生活健康などを記録してきたというから相当根気がいる研究であることは間違いない。
その調査の結果、人生で一番大切なものはなにかが分かったと教授。
その力を保有すれば、人生全体に及ぼす正の影響力がとても強いというのだ。それは富の力か、健康がもたらすパワーか、家族の結束力か、知識や知性の力か、はたまた教養の豊かさか、メンタルの強さか…。
以下、氏のスピーチの要約。
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一生を通して私たちを健康で幸福にしてくれるのは何でしょう?最高の未来の自分に投資するなら時間とエネルギーを何に使いますか?
最近「最も大切な人生の目的は何か」と訊ねました。80%以上の人の答えは「人生のおもな目的は富を蓄える事」でした。若者の50%は、「有名になる事」と答えました。
何万ページにもなる私たちの研究から分かった事は何でしょうか?
それは「富」でも「名声」でも「無我夢中で働く事」でもなく、「良い人間関係に尽きる」という事でした。
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これを聞いて私はおどろいた。なんと、人生にもっとも大切な能力が「人間関係」とは・・・。いたく納得できる部分もあるが、本当にそれだけなのか?という疑念も浮かんだ。
本当に人間関係だけでいいの?きちんと仕事ができるから人間関係がうまくいく、という部分もあるだろうし、豊かな教養があるから人間関係がうまくいく、という部分もあるはずだ。
もちろん反対のケースもある。
仕事ができるのに人間関係はからっきしダメだという人もいるだろう。
教養があって見識もあるのに、周囲にいばり散らして煙たがられている人もいるだろう。そうやって考えると、良好な人間関係を構築する力というのは、本人にその意思がなければ始まらない能力なのかもしれない。
人間関係を良好にする力は家庭のなかでも必要だし、職場の中、顧客や取引先との関係でも必要だ。さらにはプライベートでの友人関係や SNS での関係など、その影響力が及ぶ範囲は広大である。
人間関係が大切であることに異論はない。だが、人間関係が人生の他のことよりも波及効果が大きいと本当に言えるのだろうか。
あす、TED のスピーチのつづきを聞きながらこのテーマを考察しよう。