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性犯罪について思う

今朝、床屋に行くとマスターがまっさきに人気タレントの性的暴行事件のことを話し始めた。「あまり興味がないな」とわたしが答えると、ごていねいに詳しく説明してくれた。「で、どう思います?」とマスター。どうと聞かれても何の感慨もないが、「本人が99%悪い。親と事務所が1%悪い」と答えておいた。

その理由はタレントの年齢。まだ22歳らしい。新入社員の年齢だ。
身体は大人だが世間常識をもちあわせていない学生と一緒である。
事務所としては、社会人教育をきっちり行う必要がある。ホテルでの振る舞いについても教えないと、お金をもった若者が一人でホテルに泊まると羽目を外したくなってもおかしくない。

散髪がおわって帰りみち、ふと Y 会長のことをおもいだした。
名古屋でパチンコ店やホテル、飲食店などを経営する K 社は業界でも屈指の名門企業。同社の Y 会長が掲げる経営方針は明快だ。

1.会社設立にあたっては資本金と同額の資本準備金を集めるべし!
2.会社の創業メンバーには、管理に明るい人材を加えるべし!
3.ものは何処よりも安く買い、人は何処よりも高く買うべし!
4.幹部の登用は、人格の高さと遵法精神を重んずべし!
5.社員はまず、年収の半分の貯蓄をすべし!
6.日銭商売にあっては、借金は避けるべし!
7.2期連続して赤字の部門・店舗は、潔く失敗を認め撤収すべし!
8.事業の拡張計画は、人材の成長スピードを最優先に考慮すべし!
9.ブームには乗るなかれ!
10.時には社運をかけた挑戦を行い、社内に緊張をもたらすべし!

Y 会長は同業他社の失敗を他山の石としてこうした方針を作られたのだろう。

・数字に弱い人ばかりで経営する
・一時的なブームに乗って調子に乗る
・社員が不正を働く
・社員の生活基盤が安定していない
・社員に教育投資していない
・社員がサラリーマン化する
・失敗の定義がなく損失が拡大する
・その結果、資金が尽きる

そうした会社をたくさん見てこられたからこその10箇条だろう。

ある年の暮れ、Y 会長に招かれ、幹部会議と忘年会に出席した。会議がおわって近くの中華料理屋の2階に再集合。冒頭、Y 会長は幹部をねぎらったあと、こんなことを言われた。

「ところで諸君のなかに車で来ている者はいないよな?」
「はい、大丈夫です」(と幹部諸氏)
「何度も言うが、飲酒運転は即刻解雇だから、くれぐれも注意してほしい。一回の出来心で人生を棒にふるなよ」

「本当に解雇なんですか?」
乾杯のあと、Y 会長に確認してみた。
「むろん、本当ですとも。以前、該当者が出てしまい泣く泣く解雇しました。法令違反者がでるということは、パチンコのような免許商売をするものにとって死活問題です。なによりも本人が人生を棒に振りますからねぇ。法令遵守の大事さをことあるごとに言うようにしています」

飲むと立ち小便するクセが直らない幹部がある日、警察官にみつかり、パトカー内で取り調べを受けた。翌日、そのを幹部を降格した社長がいる。周囲から眉をひそめられるような人が部下をもってはならないという方針なのだ。私もそれに同調したい。

だが、高潔な人ばかりではないのが人間だ。不潔とは言わないまでも、ときには羽目をはずして遊びたくなることもある。そんなときの羽目の外し方の境界線を明確にもっておこう。その線を一歩でも踏みこえればそれは犯罪である。
「双方合意だし、お金もたっぷり与えているので」と高校生相手に援助交際した社長が逮捕された。
その社長のFacebook と Twitter アカウントは社員が代理削除した。
会社のホームページも一時閉鎖した。だが、ネット掲示板での悪評は簡単に消せるものではない。

性犯罪を犯し、人生をフイにする。著名人であればなおさら衝撃が大きく話題になる。

「なんで?」「どうして?」と思うが、酒に飲まれて魔が差したのか仕事のストレス発散で悪戯気分だったのか。理由のいかんをとわず、犯罪は罪に問われ、被害者に与えた心身のダメージを償う必要がある。
刑期や罰金には法律の定めがあるが、世間の心証や本人の後悔の念は、一生を費やしても消せないことがある。

法令遵守は当たり前のことだが、時々タガが緩むことがある。だからこそ締めなおすために、法令遵守の誓いを定期的にせねばならない。
企業にあっても「経営計画書」や「服務規程」などにそうした一文を明記し、遵法の精神を養うようにしよう。