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社長の現場 その1

株式会社おおしま、大島康孝社長の場合。

「外食市場」が低迷する一方で、弁当・総菜などの持ち帰りや給食などの「中食市場」が堅調に伸びている。だが安定して利益を出すのは容易なことではない。名古屋の弁当事業者、株式会社おおしま(大島康孝社長)は、実にきめ細かい経営努力を積み重ね、数%という営業利益率をひねり出している。その取り組みを取材した。

― 31年前(昭和60年)、建設業界から弁当事業に参入されたそうですが、どんな開業でしたか??
― 自宅の庭を改装して弁当事業を始めました。最初は一社もお客さんがいませんでしたし、嫁にも反対されたのですが、5食、10食、20食とお客さんが増えるに
したがって嫁も安心してくれました。(笑)いまでは毎日5,000~5,500食の弁当をお客様にお届けする会社になりました。正社員は約10名、パートさんは70
名ほどいます。
― それは奥さんもひと安心というところですね。一般的に弁当業界では一日3,000食が「大手」といわれるボーダーですからお見事な手腕ですね。 お客さんは会
社と個人、どちらが多いのですか?
― 個人宅にはお届けしていません。法人と幼稚園が当社のお客様で、法人の場合はオフィスや工場、工事現場などにお届けしています。
大半が昼食用のお弁当です。
― さきほど、こちらの事務所に入ってすぐに経営理念の額縁が目に入りましたが。
― はい、10年前に初めて経営計画書を作りましたが、その時に経営理念を定めました。
「わたくしたちは、独自の味、独自のメニュー創作によって、給食業界でのオンリーワン企業を目指します」というものです。
― 経営は順風満帆というところでしょうか?
― いえいえ、何度も危機がありました。たとえば2000年の東海豪雨で工場が完全に水没してしまったときにはどうしていいか頭が真っ白で声も出ませんでした。
― 私も名古屋ですからあの豪雨はよく憶えています。名古屋中が洪水に浸かるなんてことは想定外でしたからね。
― バブル崩壊やリーマンショックも影響がありましたし、社内体制のまずさから小さい危機は何度も何度もありました。
もともと、製造管理、労務管理、計数管理など何も知らずに起業したものですから、気が安まるヒマがありませんね。
― 子どもの産み方を学んでから嫁に行く人がいないのと、社長業を学んでから起業する人がいないのは一緒ですよ。(笑)
― そんなものですか。(笑)まあ、コツコツやっていくうちに、二人の息子が手伝ってくれるようになり、優秀な幹部社員を採用することができて、ようやく会
社らしい会社になってきました。それもこれも経営計画書を作ったおかげだと思っています。
― なるほど。息子さんが二人も入社してくれるとは。しかも幹部も優秀とは頼もしい限りですね。この事業で大切なことをひとつだけあげるとしたら何になりま
すか?
― 食の安全衛生というのは当然のこととして、いまはおいしいだけでなくヘルシーさも求められます。管理栄養士を複数名採用して栄養バランスにも配慮してい
ます。ですから、安心安全とバラエティに富んだ味、ヘルシーさの三つが弁当事業のポイントですかね。
― なるほど、経営面で大切なことは何ですか?
― まず営業です。当社がお客様にお願いしている最低注文数は10食です。そういうお客様をいかに見つけるか。しかもそのお客様は当社の配送コース内でなけれ
ばなりません。そのような制約が多いなかで受注を増やすのは簡単なことではありませんが、開拓努力をつづけています。
― お弁当の平均単価はいくらですか。原価や経費などはどの程度に抑えるようにしておられますか?

<8/22、月曜日号につづく>

★株式会社おおしま(大島康孝社長)
愛知県名古屋市天白区中坪町155番地 http://www.e-oshima.co.jp/

※あす発行の「がんばれ!社長」の月刊誌『社長最前線!』9月号に現場画像付きで大島康孝社長が紹介されています。
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