未分類

風儀は上より起こる

今年、東京の5月は夏日を5日間も観測し、記録が残る明治9年以降で5番目に多いそうだ。この夏は暑くなるかもしれない。

最高のお天気に恵まれた GW後半、知人がウインドサーフィンをやってきたと画像を送ってきた。30度近い外気とは裏腹に、海の中はまだ真冬のように冷たかったと書き添えられていた。海水の温度は気温の2カ月遅れというから、今の海は3月上旬というわけだ。真冬に海に入るとかえって暖かく感じることがあるのもそのせいである。

気温と海水温の差は二ヶ月。
そうした温度のタイムラグは、会社組織のなかにも表れる。

1.社長が「やる気100%」になってから社員も「やる気100%」になるまでは2カ月かかる。
2.社長が「やる気50%」に低下してから、社員も「やる気50%」に低下するまでは3日しかかからない。

同じ温度にまで上昇するのは2カ月かかるが、温度が下がるのは3日もあれば充分だろう。もちろん企業規模によるし、平熱が何度かにもよるが基本的な考えはこのようなものだ。

アメリカには「組織は一人のリーダーの長い影に過ぎない」という警句がある。日本でも江戸時代の儒学者・佐藤一斎が書いた『重役心得箇条』にこんな言葉がある。

「風儀は上より起る」

会社でも家庭でも部活でもなんでも、リーダーの風儀がメンバーの風儀になるというもの。組織の風儀は、決して下からは起こるものではないという点に注目したい。

もしリーダーがメンバーの能力を疑ってみていたら、メンバーも互いのことやリーダーのことを疑ってみるようになる。もしリーダーがだらけた気分で仕事をしていたら、メンバーもだらける。もしリーダーが将来に不安を感じながら仕事をしていたら、メンバーも会社の将来に不安をおぼえる。

リーダーにとって部下は自分の鏡である。ただし、今の自分を映したものではなく、すこし前の自分を映していることを忘れずに。