昨日、名古屋のある社長が新入社員を伴って来社された。起業家向け月刊紙の創刊準備が大詰めにさしかかっているそうだ。新入社員のひとりは、その雑誌専属のマンガ家だった。M 君(二十歳)という。マンガの専門学校を卒業したばかりで、とにかくマンガがうまくなりたいそうだ。
私が事前に寄稿しておいたビジネスショートショート(超短編)をM君がマンガにしたものを見せていただいた。ラフ原稿だそうだが、技術力の高さに驚いた。例えるならば、私の原稿がゴルゴ13の劇画の世界に飛びこんだような不思議な気分である。
好きなマンガは何かと M 君に聞いてみた。「鉄楽レトラです」という返答だったが私は聞いたことがない。「武沢先生は?」と聞かれたので「サンクチュアリー」と答えたら、彼が「知りません」と笑った。これも世代ギャップというものだろう。
こちらは彼らの世代のことを理解すべく努力する必要がある。彼らも我々の世代のことを勉強してもらう必要がある。わかりあえる相手とだけ一緒に生活し、仕事するのが楽ではあるが、そうした姿勢では革新的なものが生まれない。
少子高齢化によって日本のビジネスはシニア市場を強く意識するようになった。65才以上の団塊世代よりも上の人たちをシニアと呼ぶが、そこには超巨大なマーケットがあることは誰も疑う余地がない。ただし、シニア世代のことをよく理解し、どういう方々を対象に、どのような製品やサービスを提供するかをよく吟味しないと思わぬ苦戦を強いられる。「中高年を相手に品揃えすればいいのね」という程度の甘い認識ではうまくいかないのである。
ビジネスとして注目されているターゲットは「アクティブシニア」。ある程度の金銭的余裕があり、時間にもゆとりが生まれ、活動的に動けるシニアのことをそう呼ぶ。彼らにお金があるからといって高額品ばかりを揃えていたらそっぽを向かれる。ここぞ!という時にはお金を惜しまないが、もともと戦後間もない生まれであり、つつましい生活に慣れている。だから、本能的に無駄な出費は避けたがるというのも「アクティブシニア」の特長。そのあたりは「富裕層」や「セレブ」との違いでもある。また、「アクティブシニア」の多くは「なじみ」を大切にする。店も担当者も「なじみ」を持ちたがる。「富裕層」や「セレブ」が通う店を次々と変えていくのとは大いに異なる。
昨日、 Amazon ジャパンが「 おとなのセレクトストア」をオープンした。まさしく「アクティブシニア」を対象にした通販サイトで、ちょっと贅沢で品質の良い商品を約15,000点を取り揃えたという。世界中の Amazonに先がけて日本でオープンした。日本のアクティブシニア層が「おとなのセレクトショップ」を「なじみ」にするかどうか注目が集まっている。
Amazon おとなのセレクトストア
→ http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=4788