昨年の「経営計画合宿」に参加された H 社長(製造業、社員数100名)から今朝こんなメールを頂戴した。
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ご無沙汰致しております。3月末決算で、何とか微増ではありますが、増収・増益を達成出来ました。ただ、売上の1・3・5の壁があると言われますが、ここ数年は10億の壁を越えられずにいます。これを突破するには何が必要でしょうか?
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単刀直入のご質問。しかも、会社の状況をあまり詳しく存じ上げないので、あくまで一般論として次のように回答させていただいた。
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10億の壁が突破できないとのこと。それは、もう一段上のギアにシフトチェンジすることが求められているのだと考えてみましょう。
もう一段上のギアとはなにか?
私は次の三つだと考えています。
1.新成長戦略をつくる
新しい売り物(製品・サービス)を開発する
新しいマーケット(客先開拓、市場開拓)を開拓する
新しい売り方(新規開拓の方法や顧客深耕作戦)を考案する
自社が自社を時代遅れにするようなイノベーション(変革)とマーケティング(顧客開発や事業開発)は、経営計画のメインテーマです。顧客のニーズに対応したり、業界内外のトレンドを見きわめることも大切ですが、なにより大切なことは経営理念にさらに肉薄する方法論をお決めになることです。
新成長戦略を立案するのは容易なことです。その気になれば一日でもできます。ただし、計画したことが成果を生むまでの間には、ねばり強い継続的努力が必要です。ひとつのやり方がうまくいかなくても、決してめげず、別の方法にチャレンジする。そうした二の矢、三の矢が用意されていないと、ひとつのアイデアに固執する羽目になります。
全社をあげてそうした取り組みをした結果、1~2年して努力が酬われてくる、という類いのものだと思います。幹部や現場の声を大切にすることはもちろんですが、こうした改革のかじ取りそのものは、トップダウンで進めた方がスピード感と迫力の両面で良いかと思います。
2.部下の力を引きだすリーダーシップ
上杉謙信みたく、「俺について来い」の率先垂範リーダーシップもひとつのスタイルです。反対に、部下を前面に押し立て、自らは本陣の床几にどっしり腰かけてそこを一歩も動かない武田信玄のリーダー像もひとつの姿です。どちらが良いかという二者択一ではなく、時と場合に応じてどちらも使い分けましょう。
坂の上に立って雪だるまを転がし始めるときは上杉謙信型の役割を果たしましょう。雪だるまが加速し始めたら、サッと身を引いて武田信玄になるのです。トータルとしては、武田信玄型の時間を多くしながら、経営成果は今まで以上にあがるようにしていくのが理想のリーダーシップだと思います。
3.壁の意識
1億・3億・5億・10億の壁というのは、それを意識してしまうと本当に壁になります。事実、世間には壁にぶつかってはね返されたままの会社がたくさんあります。しかし、壁をまったく意識せず、しかもすんなりと突破していかれる会社もあります。その差は多分に「意識」です。社長が10億突破ということを強く意識しすぎると、かえってそれが超えられない壁になることがあります。10億よりももっと先のことを真剣に計画していけば、気がついたら12億になっていた、15億を超えた、という状況になることでしょう。
一般論ではありますが以上の三つが大切なことかと思います。
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これが H 社長に今朝、お送りした内容である。
すぐにレスをいただいた。H 社ですでに取り組んでおられるテーマもあったようで、「とてもやる気がでた」という内容だった。問題や課題がすっきり整理されるだけでも我々のやる気はアップする。
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