天国と地獄、そこはまるで別世界という印象がある。
たとえば、天国は雲のうえにあり、地獄は大地の奥ふかくにある。天国は、愛と花と食物にみちあふれた楽園であり、地獄はただひたすら熱く、飢えかわき、食物も愛もなにもない悲惨なところ、という具合。
ところが、・・・。
天国と地獄は隣地にあり、与えられた条件もまったく同じだとしたらどうなるだろうか。
「がんばれ社長!」読者の内田さん(東京)からプレゼントされた「こころのチキンスープ2」が私の心にしみわたり、歓喜している。
極寒の地を歩き、冷えきったからだにカップ一杯のチキンスープをふるまわれたような至福の気分なのだ。
ダイヤモンド社から出版されているこの本、実は大人気のシリーズものなのだが、不覚にも私は知らなかった。読んでみてビックリ。思わずうなってしまうショートストーリーで満ちあふれている。たとえば、144ページにある「天国と地獄」だ。
・・・
ひとりの男が天国と地獄について神様と話をしています。神様が男に言いました。
「こちらについて来るがよい。地獄を見せよう」
二人が最初に入っていった部屋には、人間たちが煮物の入った大きな鍋を囲んで座っていました。全員がひどくお腹をすかせ、生きる望みもすっかりなくしたように見えます。皆、スプーンを鍋に入れては煮物を口に運ぶのですが、スプーン柄が腕よりも長くて口に届きません。その苦しみようと言ったら、それはひどいものでした。
「さあ、今度は天国を見せよう」しばらくすると神様が言いました。
二人がつぎに入っていったのは、先ほどとまったく同じような部屋でした。煮物の入った鍋、そして柄の長いスプーンがあり、人間たちがいました。ところがこの部屋の人たちはお腹も十分に満たされ、その顔は幸せに輝いていたのです。
「どうしてなのでしょう?私にはわかりません」とその男は言いました。
「なぜここにいる人たちはこんなに幸せで、さっきの人たちはあんなに惨めなのでしょう?条件はまったく同じだというのに!?」
神様はほほえむと、「それはとても簡単なことだ」と言いました。
「ここにいる者たちは、お互いに食べさせ合うことを学んだのだ。ただ、それだけの違いなのだよ。」
アン・ランダース
・・・
あなたは今、どちらの部屋にいるだろうか。さらに豊かな天国の部屋にするために、何が可能だろうか。考えてみようではないか。
「こころのチキンスープ2」(ダイヤモンド社 刊)
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