北条建機株式会社(仮名)では、小型ブルドーザーや小型パワーシャベルなどの小型建設機械を製造販売している。北条宗次郎氏(仮名、40)は、昨年急逝した父のあとを継いだ 3代目社長である。
同社は昭和の高度成長期に「小型の北条」ブランドを確立し、業績を伸ばしてきた。
だが、長びく国内景気の低迷や中国・韓国などの外国勢が低価格攻勢をかけており、北条のシェアはじり貧で、営業利益率もついに 2%程度にまで悪化した。バブルの最盛期には 15%を超える営業利益率を誇ったものだが、隔世の感がある。
北条の経営戦略会議のメンバーは次の 7人。
北条宗次郎社長(40)、高崎建造専務(66)、北条隆吉常務(61)、桜木住男営業本部長(55)、服部三吉資材部長(50)、斉藤清太財務部長(58)、遠藤誠人事部長(46)。
この日の議題は「北条建機の未来戦略」。各自が案をまとめてプレゼンすることになっていた。
いつもの定例議題をこなしたあと、さっそく今日の本題にはいった。
そして 90分後、会議は休憩に入った。会議室のホワイトボードには、「北条の未来戦略」というタイトルの下に、次の六つのアイデアが書かれていた。
1.今こそ「顧客第一主義」の経営理念に立ち返り、本格的なカスタマーサービスの向上策を計るべし。そのために必要なことは、全社をあげた経営理念教育にある(人事部長案)
2.シェア縮小に手をこまねいてばかりいるのではなく、こちらかも積極的にアジア諸国に進出してシェア拡大を計るべきだろう。それには「Made in Japan の北条」「70年の実績の北条」をブランディングすれば充分に勝ち目はある。(資材部長案)
3.我が社も中国製や韓国製に負けない低価格機の市場に参入していこう。低価格化のトレンドは止まりそうもない。仮に価格を 3割引き下げてもコストをそれ以上引き下げれば利益率は高まるはずである。(営業本部長案)
4.新製品、新事業に活路を見いだそう。建機の市場規模はこれからも成長が見込めるが、当社のような中堅企業が大手資本と同じ市場でまともに勝負しても勝ち目がない。よりニッチな市場の新製品や新事業を開発し、無競争の事業を作っていこう。(常務案)
5.国内外に目を向けて企業買収を行おう。我が社の弱み、それは海外での営業力と商品構成の乏しさである。それを補強してくれる強力なパートナー企業を買収すべきだろう。(専務案)
6.今こそネットに投資し、顧客第一主義という理念を具体的な形でサービスにしよう。北条しかやっていないという顧客サービスを開発することによって、もともとしっかりしている製品力にプラスアルファの付加価値を付け、他社との差別化を計っていこう。(財務部長案)
どれももっともな意見である。だがこの中から一つ、柱になる方向性を決めねばならない。
20分の休憩のあとは 6人の役員がそれぞれ、自らの案についてのより詳しい具体策をプレゼンすることになっている。今日中にでも、ひとつの方向性を決定することになっているのだが、果たして決まるだろうか。
★そこであなたに出題。
あなたなら、何番を選ぶだろう。理由を付けてご回答いただきたい。
回答者のうち、3名の方に「2013年版マンダラ手帳&Wish-List」をプレゼントさせていただく。選考基準ならびに当選発表は、あさってのメルマガに意見が掲載された方、とさせていただく。
回答有効期間は明日の24時まで。
メールはこちらまで→ info@e-comon.co.jp 「北条建機の戦略係」よろしくお願いします。
【編集後記】
◆カレンダーを各社から送っていただける季節になりました。あと 20日か。
今日は名古屋の U 社で会議。