亀井静香大臣の肝いりで始まった「中小企業金融円滑化法案」は過去二年にわたって期限が延長され、来年 3月末日をもって法案期限切れを迎える見通しだ。三度目の期限延長はないと見られており、あと3ヶ月強の時間のなかで銀行から返済をせまられる会社が続出するとみられている。いや、すでに貸しはがしが始まっているとも聞いた。
今年 6月に中小企業庁が速報したデータによれば、2012年 3月末日時点で、銀行に返済猶予を申し出た融資件数は 284万件、金額にして79 兆円あるという。284万件というと、日本の企業数に匹敵する膨大な数。そのすべてが不良債権になるわけではないだろうが、可能性はゼロではない。
銀行は損切り覚悟で見通しの立たない弱小中小企業から貸しはがしを進める。
我々はそうならないために、銀行を納得させる企業再生計画を持たねばならない。それは小手先の数字合わせではない。自社の事業のあり方にきっちりメスをいれ、組織の大改革を伴うものでなければ仮に来春を乗り切ったとしても明日はない。
そうした計画づりについては、がんばれ社長が主催する「本気講座」などに通っていただきたいが、もっと切迫した事態にある方のために今日は一冊の本をご紹介したい。
『銀行から「金を返せ」と言われたら読む本』(植田統著、光文社)という。
http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=3429
架空のお店「鈴木洋菓子店」を例にとり、事業がグングン発展し、やがて衰退し破綻にいたるまでの一代記のなかで、経営者はどのような行動をとるか。金融機関との関係をいかに誤っていくかが最初に書かれている。そのショートストーリーを題材にしながら来年期限を迎える円滑化法案対策を経営者に授けるのが本書の使命。
著者は弁護士であり、企業再生の専門家でもある。豊富な体験を元に語るので説得力充分。それでいながら文章は専門的になり過ぎず、読みやすい。銀行を恨むばかりが対策ではないのだ。
【編集後記】
◆体調がすぐれず今日は会社を休みます。