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主観と客観

今この瞬間において、もっとも効果のある発言は何かを考え、そのとおりに発言できるリーダーは強い。ある時には評論家のように客観的に、ある場面では桶狭間の信長のように主観的に。

良いリーダーは、主観と客観の使い分けが達人の境地にある。古今東西の経営者でも政治家でも良い。リーダーとして魅力的な人物を思い浮かべてみてもらいたい。きっとその人物は、主観と客観の使い分けが絶妙だったはずだ。

マネジメントコーチの大橋禅太郎さんのオフィスで先日焼肉を食べた。代官山にある洒落たアトリエとでもいうべき彼のオフィスだが、そのときの約束で、面白い原稿を「がんばれ社長!」のために送ってくれた。さっそくご紹介しよう。

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こんにちは、大橋禅太郎です。ある大学のラグビー部監督が試合前、TVのインタビューに答えて、「今日我々は勝ちに来ました。今日まで我々は勝つために練習をしてきました。」と、勝つこと以外に意味が無いといったコメントを述べていた。ところが、試合内容は良かったものの、結局このチームは負けた。試合後のインタビューで同監督は、「いい試合が出来ました。次のシーズンにつながります。」と言った。試合前とは豹変したこのコメントを聞いて、皆さんならどう思われるだろうか?

私は、マネージメントコーチとして試合前後のこの発言を見て、この監督は「素晴らしい」の一言に尽きる!と思った。
なぜなら、与えられた現状に対して、最もインパクトのある未来につながる「意味」を主観で創り出している。

ビジネスの世界では客観的であることが一般的に要求されていると感じている人が多い。しかし主観こそが、現在地から違う未来へとビジネスを導く原動力である。この監督が試合前に「いやー、勝つかどうかはやってみないとわからないですよ」。負けた後に、「あそことあそこが悪かったですね」、といった客観的コメントだけを述べていた ら、あのチームは短期間であのレベルまで成長しなかったはずだ。

ここでいっているのは客観、主観どちらがどちらかより優れているという意味ではない。両方使わなければ、両手で仕事をしている状態にはなっていないということだ。ビジネスの現場では、望ましくない結果が日々起きる。客観的事実に対して、どんな意味を主観で付け、未来を創れるか。これがリーダーの第一の仕事だ。

ただし、これは注意して行う必要がある。リーダーが突然、主観で、「これはこうしていく!」と叫び出すと、部下はひいてしまう。主観と客観を織り交ぜながら、しかるべきリーダーシープととってゆくためのコミュニケーション型についてみっちり学ぶ必要がある。
手前味噌かもしれないが、そんな場を当方もご用意しているのでお知らせしたい。

「マネージメントコーチ “型のワークショップ”」 10時から18時、みっちり8時間を理論だけだなく、ありがちなケースを使って現場でその日から使える技を習得していただきます。

・日時:2003年4月15日(水) 10:00-18:00 (09:45開場)
・会場:新宿NSビル 13階 D会議室
・参加人数:18名限定
・費用:お1人様5万円(税込み)当日受付にて頂戴いたします
・主催:マネジメントコーチ・ネットワーク
・詳細・申込み: http://www.managementcoach.net/workshop/0415_html
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大橋禅太郎さん、ありがとう。昨日の「がんばれ社長!」では、アサヒビールの挑戦を取り上げた。かつてはキリン王国の元で、凋落を続ける一方だったアサヒビール。そんな客観情勢のなかで、主観に満ちて立ち上げったリーダーがいたことを思い出そう。

過去の出来事や業績というものは客観的な情報である。それをそのまま放置するのでなく、意味ある主観を加え、価値ある何かを作ることがリーダーの条件だ。
間違ってはいけない、ウソをついてはいけない、約束を破ってはいけないと汲々とするなかれ。何をしなかったかではなく、何をしたかがリーダーの腕の見せ所なのだ。