●和食を気軽に楽しむなら A、レアものの老酒と一緒にガツガツ食べる中華なら B、刺身の美味さと煮もの料理で勝負する魚屋なら C 、イタリアから取り寄せた釜で焼くあつあつのピザなら D、ヘルシーな韓国焼肉なら E という具合になじみの店が幾つかある。
●足しげく通って、大将や女将と知り合いになり、こちらのことも知っておいてもらうと無理がきくようになる。急きょ、誰かをお連れする時にも席を確保してくれるし、家族や一人で出向くときも安心して料理や酒に専念できる。
●ラスベガスの S 社長が初めて名古屋に来られたときには A へお連れし大いに感動していただいた。
「ラスベガスに支店を出しませんか?」と S 社長が大将に提案していたほどだ。
盟友であり人気ブロガーでもある T さんと初めて名古屋でご飯を食べたのもこの店だった。京都の若い女性起業家をお連れしたのもここ。
そういえば、沖縄の Kさんもこの店だし、和僑会の会長と通販コンサルタントの S 先生と出版社の G さんとで会食したのもここだった。
最近では、建設コンサルタントの降籏さんと青木さんと大塚さんとでミーティングしたのもここ。ここは鉄板焼きが名物なので、熱くギラギラした話題に適している。
●「魔法の質問」のマツダミヒロさんが来られた時には中華の B に行った。ここは舌の肥えた中華通がうなる店。すぐ近くに御園座があり、有名な役者や歌手がステージの打ち上げなどでやってくる。
ある日、ここで老酒を飲んでいたら紺ブレの男性が入店した。そのとき、奥の部屋にいた数人のスタッフがキャッ!と歓声をあげた。
「ヨォー!」と右手を挙げる男性。女将に「あの人有名人なの?」と聞いたら「あら、知らないの?杉良太郎よ」と言われた。
この店でしか飲めない20年ものの老酒をあおりながらプリプリに揚がった海老の香味炒めと鶏のもも肉炒めは比類なき美味さだ。料理の味にノックダウンしたマツダさんは私との会食の翌日も一人でここに来て海老を食べたそうだ。
●これらの店の共通点は市販の観光ガイドブックやミシュランガイドに載っていないこと。それとネットの口コミ投稿サイトの点数があまり高くないことでも共通している。
ネットでの評価曰く、高すぎる
曰く、接客に愛想がない
曰く、禁煙ではない など。
●だが私に言わせれば、値段が妥当で接客が良くて、全席禁煙であればそれで良いのか、ということだ。欠点がない人が完璧な人なのか?
ということでもある。欠点はあっても、それをはるかに上回る長所や魅力があればそれで良いと思う。そこにしかない強烈なオリジナルがあり、そこが気に入れば私にとって満点の店なのだ。
●その店の信者と行けば、同行者も信者になる。
二人そろって疑心暗鬼のまま入店すれば、その店を出るまで二人とも落ち着かない感じがする。そういうものではなかろうか。
●ここでいう「安心できる店」「落ち着く店」とは、どういうことだろうか。反対に「安心できない店」「落ち着かない店」とはどういうことだろう。
人間の行動心理を理解するためには、脳の反応を理解する必要があるようだが、興味深い「エルズバーグの逆説」というものがあると知ったのは昨年暮れのことだった。
なじみの店を持つことはこのエルズバーグ逆説でいけばどうなるのか。
<明日につづく>