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風変わりな肩書きの会社

●今日 2月28日は織部の日。岐阜県土岐市が制定したもので、千利休の亡きあと、秀吉の茶頭になった古田織部が歴史に初めて登場したのが1599年の今日で、関ヶ原合戦の前年ということになる。

●戦国武将にとって茶の湯とは乱世を行きぬくための心の慰みであると同時に、茶室が格好の密談の場でもあった。
また、部下に与えることができる恩賞としての領土にはかぎりがあるが、茶器などを与えることにはかぎりがない。
茶の湯を武将のたしなみとし、「茶湯政道」を設け、茶頭(茶事を司る要職)を置いたのもある意味で信長の武将モチベーション操縦法といえるだろう。

●たとえば最高級の誉れ高い茶器「初花肩衝茶入」の持ち主の変遷をみるとすごい。
足利義政─織田信長─徳川家康─豊臣秀吉─徳川家康─徳川綱吉というように、それを所有していたのが誰なのかを見るだけでその有り難みが判断できた。(たかが)茶器のために命をかけることができたのだ。

●のちに茶頭は時の権力者の側近的な役割を果たすようになり、秀吉と利休の関係は特に有名となった。

茶頭(さどう)とは、今日の企業でいうなら「社長室室長」、「秘書室室長」など、社長と直につながっている要職者といえなくもない。

●「室長」といえば・・・。

ある日、メルマガ読者の方と名刺交換していたら、思わず「え?」と声が出てしまった。役職名がたいへん風変わりだったのだ。

「第二営業部課長、会議室室長」

と書かれていた。

●最初は「社長室室長」かなと思ったが、何度みても「会議室室長」なのだ。会議室をただ管理するだけの管理人にしては若くて優秀そうである。そこで、おそるおそる聞いてみた。

「会議室室長って、どんな仕事ですか?」

●彼の説明を要約するとこうなる。

社内の会議レベルを上げる責任者のことです。
うちの社長は信長や秀吉のようにアイデアマンで新しい物好きなんです。信長が名誉のために茶器や茶会を利用したように、当社の社長も社員全員をなんらかの役職者にしてモティベーションを与えています。
社員数40人の事務機販売の会社ですが、つぎのような役職があります。

・理念部部長・・・経営理念にふさわしい行い、ふさわしくない行いを拾い集め、社内報にして毎月発信する人
・お茶部部長・・・週二回の 4時のティータイム(30分)の準備をする人で週1回は有名な行列スィーツ
・お金部(おかねぶ)部長・・・現預金の増減状況に目を光らせ、見える化とアラート発信をする人
・利益部部長・・・利益計画と実績をチェックし、見える化とアラート発信をする人
・環境部部長・・・掃除と整理整頓を巡回指導する人
・あいさつ部・・・あいさつが正しく行われているかどうかを記録し、個人別・部署別で統計を発表する人
・残業部部長・・・無駄な残業が増えていないか、サービス残業をしていないかをチェックする人
・自動車部部長・・・社用車が正しく使われているかチェックする人
・クラウド部長・・・社内のパソコン、スマホ、タブレットの活用状況を巡回指導する人

そして私(会議室室長)・・・会議が上手に運営されるように巡回指
導する人

だという。それぞれに部長、副部長、課長(複数)がいて、肩書きが多い人だと
「営業課長、利益部部長、あいさつ部副部長、クラウド部課長、残業部課長」ぐらいになるそうだ。そうなると、名刺の肩書きも二段、三段になる。

●「なるほどねぇ、そんな会社があるんだ」と唸ってしまった。

こうなれば、領土(給料)のかわりに茶器を与えている会社を探してみたくなった。どなたかそんな変わった会社をご存知ないだろうか?