●一杯6,500円のそば。
先週金曜日、東京での仕事を終え都内で会食。この日は都内にもう一泊する予定だ。土日を利用して日光を旅するからである。最強のパワースポット・日光東照宮にお参りして、エネルギーをチャージし、かねてより欲しかった龍のひとふで描きの「一筆龍（晄秋家）」に行って画を求める。それが今回の目的。もちろん日光といえば、そばとゆばと羊羹も楽しみのひとつ。
●夕食会のとき、S さんから良いことを聞いた。
そばなら「小百」（こびゃく）が美味いという。なにしろ S さんは年間に50回は日光に行っているという日光ファン。わざわざ「小百」のそばの他に、ゆば料理の美味い店まで教えてくれ、メールで URL まで連絡してくれた以上、行かない手はない。ありがとう！Sさん。
●土曜日の昼、東武日光駅を降りた私はためらいなくタクシーに乗り込み「小百まで」と告げた。この時点で私は、自分がふたつも重大な思い込みをしているとは気づかなかった。
●そのひとつめは、タクシーに乗って数分後に発覚した。どんどん街を離れて山間部に向かっていくではないか。
小百が日光駅から片道 2,000円を超える所にあるはずがないという思い込みをしていたようだ。実際には 2,090円かかった。
●ふたつめの思い込み、それは「小百」のそば屋が土曜日に休むはずがないという思い込み。「小百」にあるふたつのそば屋が共に臨時休業とわかり、メーターが 3,500円を回って気の毒がったタクシー運転手が天を仰いで両手をひろげた。
「いやぁ、お客さん、運が悪い。今朝のドカ雪で休みにしたんだろうね。こんなアンラッキーなことは滅多にない。せっかく名古屋からそばを食べに来てくれたのだから、私がときどき行くそば屋へ案内しよう。小百ではないが、市内へ戻る方角になるし、そこまではメーターを切って走ってあげよう」
●連れていかれたのは「竹沢家」というそば屋だった。
漢字は違うが私と同じ名前なので気に入った。店内は誰も客がいなかったが営業しているだけでうれしかった。
店主に、「私も同じタケザワだから、うまいゆばそばをお願いしたい」と頼んだ。窓辺の席から外をみたら、ふたたび降り出した雪のなか、タクシーがポツンと一台、駐車場で待っていてくれた。
●出てきたゆばそばは、私好みの濃厚な一杯だった。
竹沢家のゆばそば⇒ http://on.fb.me/A5W7gd
「美味かったよ、タケザワさん」と礼を言うと、顔を紅潮させて笑顔をみせてくれた。50前後のおやじだろうか。
タクシーで日光駅に戻った。「お客さん、気の毒なことしたね」と言われて領収書を見せられ、おそるおそるみたら金 5,900円と書いてあった。ゆばそばが 600円だったから、そば一杯に 6,500円払ったことになる。そう思うと、あの「竹沢家」での一杯はもう忘れられない。
●駅からホテルまでの道中、商店街をのんびり歩くつもりでいたが、雪が強くなってきた。商店街も半分は休業みたいだ。自然にこちらも急ぎ足になる。
「 6,500円のそばかぁ、こんな日もあるんだ！」とつぶやきながら宿に入った。
●だが次の日、早起きして東照宮をお参りし、一筆龍で龍の画を買い求めたとき、日光に充分満足することができた。
★東照宮 http://www.toshogu.jp/
★一筆龍 ⇒ http://www.kousyuuya.com/
＜6,500円のゆばそば・・・日光の教訓＞
・思い込んではいけない。一本の電話、ひとことの確認を惜しむな。
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【編集後記】
◆日光からの帰り道、宇都宮に立ち寄って餃子の「みんみん」へ。
Wish-List がまたひとつ減りました。
