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5つの時間防衛術

来年は58才になる。まさか自分が還暦になるなど想像もできなかったが、58才とは還暦へのカウントダウンではないか。そろそろ時間の使い方に革命を起こさないと人生が終わってしまう。

そこで、ダイレクト出版の『社長のための時間の使い方』(ダン・ケネディ著、3,980円)を読んで気合いを入れ直した。前にも一度読んでいるのだが、今回も興味深い発見があった。

この本は少々古い。なにしろ15年前の初版なので今と状況がかなり異なっている。しかし、著者の時間に対する格闘ぶりが伝わってきて刺激をたっぷり受けることができる。

まず、著者は「億万長者メーカー」と呼ばれていて、とにかく多忙で生産的なコンサルタントだ。それでありながら、携帯電話とメールアドレスを持っていないというからビックリだ。その理由は、自分の時間を守るための工夫だという。

携帯とメールはとても便利で、時間を短縮してくれる道具でありながら、諸刃の剣。膨大な時間泥棒のツールにもなっている。

今の私に本当に携帯電話と個人のメールアドレスが必要なのか自問自答すべきだと思った。
携帯の番号を時々変えよう。そして、10人のVIPにしか教えないという知恵がいるのではないか。携帯のメルアドにいたっては完全に不要だろう。なにしろ90%以上(もっと上かも)が迷惑メールなのだから。

また、この本にある「オフィスで仕事をする人の5つの時間防衛術」も面白い。次の5つを実践しなさいと教え、著者自身もそれを実践しているそうだ。

1.行方をくらます
2.電話には出ない
3.ファックスを取り付ける
4.時限爆弾をしかける
5.はた目にもすぐにわかるくらい多忙になる

「1.行方をくらます」

これは私も時々実行しているが、”時々”ではだめで、常時行方をくらまそうという。
部下と一緒にいなければ、誰も邪魔しない。どうしても部下と一緒にいなければならない時とは、あなたが直接その人を育てる時か、互いの考えをすりあわせるときだけ。あとは、連絡さえつけばOK。一緒にいない方がお互いに仕事がはかどる。一緒にいることによるデメリットの方が大きい可能性がある。

「2.電話には出ない」

生産性の敵、ナンバーワンは電話だと著者。そもそも人々は、なぜ電話がなったら何はさておき出ようとするのか、その従順さは信じがたいほどだと問題提起する。

邪悪な発明品のナンバーワンは携帯電話であるとバッサリ。なぜトイレで用を足しながらも電話するのか。そこまで誰かに拘束されている人間がひとかどの仕事などできるわけがないと言う。メールかファックスで充分なのだ。私も同感である。

「3.ファックスを取り付ける」

「仕事の用件はすべてファックスでやりとりする」とあるが、さすがに今ではメールを活用していると私(武沢)は想像する。私もメールでしか連絡をしてこない人が好きで、電話や携帯にかかってきても申し訳ないがほとんど出ない。普段からマナーモードにしてあってカバンの奥深くにしまってあるので、全然気づかない。もっぱら発信専用と化している。

「4.時限爆弾をしかける」

終了時間を決めて電話する。終了時間を決めて人に会う。終了時間を決めて会議する。
その終了時間はこちらだけでなく、相手も了解している状態にする。
タイマーがチクタク点滅していれば、あなただけでなく、相手にも分かるので、「30分下さい」と言っておきながら60分話されることはなくなるだろう。こちらも、楽しくてつい引き留めてしまうことも減る。

「5.はた目にもすぐにわかるくらい多忙になる」

人から話しかけられようとするならば、ゆったりとすることだ。人は余裕がある人を好む。余裕のなさそうな人には話しかけない。あなたがもし人に道を聞かれたり街頭アンケートやインタビュー、宗教の勧誘などで話しかけられる機会が多いとしたら要注意。隙がある証拠だ。

もし「○月○日ごろ、空いてませんか」と何かに誘われても、手帳を開いて日程を確認してはならない。ウソを言わねばならないからだ。
手帳を開くということは「空いていたら行きます」というメッセージである。
だから、手帳を開かず「興味深いことをされてますね。私も時間が作れるようになったら、うかがえるときも来るかもしれませんね」と笑っていえばよい。

アポの依頼メールが来たらどうするか。

「よろしければ一度お目にかかりたい」というのが一番扱いに困るメールで、特に「本やメルマガの読者です」とか「○○さん(共通の友人)とも知りあいです」とあると断りきれない。

だが、心を鬼にして面会に応じないことだ。こちらが開催しているセミナーやイベントにお誘いするか、要件を尋ねればよい。

「何かの出会いが生まれるかもしれない」という幻想にかけるのも良いが、それは起業時とご飯が食べられない時だけである。それ以外は、自分の時間を確保することに徹しきろう。

<続く>