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女性講師の迷い、ブッダの迷い

今日は博多でセミナー開催。空より陸が好きな私は名古屋から新幹線で3時間半かけて移動する。午後のセミナーのあと、夜は NBC コンサルタンツの野呂社長の福岡セミナーにも参加し、九州の経営者の方々と交流を深める。

この2本のセミナーは当日参加も歓迎なのでお時間のある方はどうぞ。

福岡 10月14日(水)13時~16時45分
がんばれ!社長主催
【4時間で全貌を学ぶ:経営計画作成・発表・追跡システムセミナー】
http://www.e-comon.co.jp/session/?p=5839

NBC コンサルタンツ様との共催
【売上げを上げなくても資金が増えるのはなぜか】 (野呂 敏彦社長)
http://www.nbc-consul.co.jp/seminar/more.asp?ID=684&rid=ganbare

さて本題。

最近、起業間もない30代の女性コンサルタント Y さんとお会いした。彼女は仕事術に関するセミナーとコンサルティングを柱に仕事をされているそうで、こんなお話しを伺った。

Y さんは今年起業するまでは大手建築設計事務所のデザイナーとして生産性の高い仕事をされてきた。Y さんの親友が講師派遣業の会社をしていたことから「デザイン現場の生産性向上」などのテーマで Yさんも講師を請け負うことがあった。それはボランティアだったが、Y さんは講師業に情熱を感じはじめた。やがて、「いつか自分のノウハウを体系化してプロの講師になりたい」という目標をもつようになった。

Y さんはその後2年かけてプロ講師の勉強と準備をし、3年目の今年めでたく独立開業にこぎつけたわけである。ところが開業直前になって迷いと恐れが出た。今まではボランティア講師だったからすこしぐらいのミスはご愛敬と甘えられたが、今後は費用をいただいて仕事をする。自分自身の専門サービスが受け入れられるかどうかで人生が大きく変わってくる。そう考えると強い重圧がのしかかってきたのだ。

レベルの高いお客から「そんなこと知っている」と言われたらどうしよう。また、レベルの低いお客からは「さっぱり分かりません」と居眠りでもされたらどうしよう。自分はどんな人を相手にすれば喜ばれるのだろうと Y さんは考え始めた。

そんなある日、 Y さんは何げなくブッダの本を読んでいた。ある箇所にきて彼女の手が止まった。それは、菩提樹の下で悟りをひらいたブッダがそのまま入滅しようとしているところだった。ブッダは究極の悟りを開いてしまった以上、この地上で生きていく必要はなかった。どうせこの悟りを他人に説いたところで理解されない可能性の方が高い。だから、さっさと入滅して、生死の境を超越した世界に行こうとしていた。しかし、そこに梵天(ぼんてん)という三界の神がブッダの前にあらわれてこう諭した。

「この蓮の花をご覧なさい」と梵天は地上に絵を書いてみせた。

「水面から勢いよく出て見事な花を咲かせている蓮があるでしょ、そういう蓮にあなたが悟りを説く必要はない。なぜなら、すでに悟っているからである。その逆に、水底深く沈んでいる蓮も、もう救えないだろう。しかし、水面すれすれで浮いたり沈んだりしている蓮に手を差し伸べさえすれば大きく花開くだろう。放っておけば必ず水底に沈んでいく。あなたが悟りを説くべきなのはそういう相手であり、そういう人があなたを待ち望んでいるのだよ」

そのときブッダは立ち上がり、悟りを説く旅に出た。

Y さんは自分に置きかえて読んでいた。

どうしたらもっと上手にできるかを真剣に求めている人だけを相手に教えを説けばよい。相手がどういう人なのかは自分が説いてみないことには分からない。結果を恐れず、いつも説きつづける事がプロの講師業なんだ、と Y さんは悟ったという。

私は Y さんからその話を聞いて内心で唸っていた。

「なるほどね、よくそれに気づきましたね」と先輩ぶったコメントを返したが、実はY さんにそのブッダの本のタイトルをお聞きしたかった。そのときは我慢したが、次の日、さりげなく Facebook でその本のタイトルを聞き出すことに成功した。それは意外なことに、絶版のビジネス書だった。