未分類

12月8日について

●「今日 12月8日は何の日か?」

私がそう尋ねられたら、まっさきに思い出すのは1941年の今日、日本軍による真珠湾攻撃、つまり太平洋戦争開戦の日である。69年前のことになる。いわゆる「トラトラトラ」だ。
たしか数年前までは、いつもこの時期になると真珠湾の映画が放送されていたが、最近はあまり話題にならなくなった。

歴史というものは当事者や家族にとってみれば、いつまでも生々しいが、一般的には記憶からうすれ、やがて記録だけが残っていく。ちなみに来週の12月14日は、何といっても赤穂浪士による吉良邸討ち入りの日である。

●ある場所でそんな話をしていたら、同世代らしき男性がこう言った。

「武沢さん、僕にとって12月8日は衝撃の日です。あのジョン・レノンがファンに射殺された日で、テレビでそれを知った僕は、彼女、いまのかみさんを誘って港へ車を飛ばし、ニューヨークの方角に向かって二人で涙の追悼をしました。1980年のことですから、ちょうど30年前になります」

「へぇ、そうなんですか。あれも12月8日だったのですね。私は26歳だったんだ」

すると別の人が、「たしか力道山が赤坂のキャバレーで刺されたのも同じ日でしたよ」と言う。調べてみたらその通りで1963年、私が9歳のときの出来事である。

●柳沢吉保も山本権兵衛も横綱・柏戸も三波伸介も今日が命日である。

12月8日は何かと物騒なことが起こるもんだとウィキペディアを見ていたら、すばらしいことも起きている。

断然すごい記録は、紀元前428年の今日、釈迦が悟りを開いている。

●もし釈迦がいなければ世界や日本はどう変わっていたか。

あるいは、彼が王子様としてそのままぬくぬくとした生活を送り続けていたならどうだったか。
世の中は激変していたことだろう。特に日本ではその変わり方は激しく、まず日本中のお寺がなくなっている。むろん、お経もなければ葬式もまるで別のものだろう。

●仏教がなければ禅も存在しないわけだから武士道精神もない。茶道も華道もないだろう。日本人のメンタリティは果たしてどうなったか想像もできないほどだ。
それを思うと、紀元前428年の12月8日を祝った催しがもっと盛大に行われてよいはずだ。

●12月8日にはもう一つ記念日になるようなことがある。

1282年の今日、北条時宗が戦没者供養のために円覚寺を建立した日である。夏目漱石が『門』で円覚寺の山門を描写した。
臨済宗・円覚寺派の総本山であり、私も早朝座禅に参加したことがある。厳しい禅僧だった。

当の円覚寺のホームページを見るかぎり、建立記念を祝った行事はない模様だ。

★円覚寺 http://www.engakuji.or.jp/

●あなたにとっての12月8日はいかがだろう。

私は今から東京へ向かう。せっかくだから、何か新しい歴史を作り行こうと思う。