1975年、ハウス食品のテレビ CMが女性蔑視と批判され、ついに放送中止に追いやられた。「私作る人、僕食べる人」という CM である。
あれから40年、女性蔑視はほぼ収束した。世の中全体が「男性だから」「女性だから」といった性差別が行われなくなってきた。だが、企業のなかでは性差別ならぬ職種差別がいまも行われている。それを CM 風に表現すれば、「私作る人、あなた売る人」となろうか。
製造と営業は別の部署。企画や開発や技術部門も基本的には営業しない。ましてや総務経理人事の社員は自社の現場を見たことすらない社員が少なくない。世間の圧倒的多数がそうした会社である。
そうした現状をみて、「なんてもったいない。宝の山が社内にあるではないか」と一人のコンサルタントが立ち上がった。そして、中小企業経営者のために「今いる社員、今ある商品で勝てる!」と福音を説きはじめたのだ。それが辻経営有限会社の辻伸一氏である。氏は「全員営業」の仕組みをコンサルティングし、度肝を抜くような実績をあげてきた方である。誇張ではなく、本当に驚くべき成果なのである。
「全員営業」を導入したある専門商社では、1年で年商を96億円アップさせた。また、ある建設・不動産会社では年商38億円が2年で85億円になった。ある電子部品メーカーでは95億円が1年で159億円に、業務用食品卸売り企業では42億円の年商が3年で109億円になった。このご時世にあってこの実績は誰もが仰天するはずである。
強いカリスマ性をもったワンマン経営者なら短期間で会社を変える素質があるのは分かる。しかし辻氏の指導先はそうした経営者ばかりではない。「もうこれ以上よけいなことをするのはムリですわ」と現場のリーダーが辻氏に言うような会社も指導し、成果をあげてきた。それは、辻氏の「人員を増やさないかわりに残業も増やさない」という基本コンセプトが社員に受け入れられるからだ。
人を増やしたり入れ替えたりすることなく、今の商品、今のサービスのままで売上げを増やす。しかも小手先の手法などで売上げを作るのではなく、社風にあった仕組みをつくり、いつでも再現可能な方法で新しい売上げ作りを指導するのが流儀である。仕組みを構築するのを見とどけ「これにて御役御免!」と去っていくコンサルタント、それが辻経営の辻伸一代表コンサルタントである。
氏の経歴をみてみよう。三井銀行を経て、旅行ベンチャーの HIS に転職。同社の法人営業部の設立に参画し、独自に編み出した新規契約の手法により、1年で3社の上場企業取引を飛込みから獲得するなどの功績で同部門を数億規模の事業に育て上げる。旅行営業マンとしても活躍し、上場直後の HIS において、2000人中、西日本 No.1 の実績をあげるなど活躍。その後、コンサルティング会社を経て、平成15年に今の辻経営を設立し、代表取締役に就任。日本初の「全員営業」の仕組み構築を体系化し、その第一人者として、社員数50~300名規模のオーナー経営者を中心に営業現場に入って実践指導してきた。
そんな辻さんがこのたび初の本を著した。
『中小企業のための”全員営業”のやり方』(総合法令出版)という。発売はあす、9月18日(金)だが、私は見本誌を手に入れ、じっくり読ませていただいた。印象をいえば、1ページ目から最後の237ページまでアンコがたっぷりつまった濃厚な “たい焼き” のような本だ。本の途中でも緩むことなく最初から最後まで著者の妥協を許さない本気さが伝わってくる。こういう出し惜しみしない全力投球の仕事をする方だから「全員営業」もきっとうまくいくのだろうと推察した。
今日から予約できるのであなたも是非読んでみよう。
『中小企業のための”全員営業”のやり方』』
(辻 伸一著、総合法令出版)1,400円税別
http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=4340