●民主党代表選は菅直人氏が現役総理の強みを発揮し、予想外の大差で小沢一郎候補を破った。
負けない戦はしないはずの小沢氏が出る限りは充分に勝算があってのことと思っていたし、週刊誌は当初から「小沢氏圧勝」を報じていた。
雑誌の論調は、虎の尾を踏んでしまった菅さんの下手さが話題になっていたはず。だが、よもやの小沢氏敗退。当の本人がこの初敗北の衝撃をもっとも味わっていることだろう。
今年68歳の小沢さん、果たしてこれで政治生命が終わったのか、それとも新たな政治家人生の始まりなのか、そこに注目している。
●良くも悪くもこれだけ世間の耳目を集めることができる政治家は滅多にいない。そういう点で、一度ぐらいは日本のトップとして豪腕ぶりを発揮してほしいと私は思う。
だが、問題は国民とマスコミが抱いてしまった小沢氏のイメージである。政治家に何よりも “クリーンさ” を求めたがる国民やマスコミがそれを許すかどうかがポイントだろう。
●もし私が小沢さんのブレーンなら、自らの首をかけてこう提言する。
「小沢さん、金の問題をうやむやにしていては何も進みません。しっかりとここは、クリーンさをアピールしましょう。”私は逃げない”と言うだけでなく、自らすすんでこの問題をオープンにするのです。そして、誰よりも”クリーン”な小沢一郎をキャッチフレーズに掲げられるようにしましょう。
二度と政治と金の問題で世間からとやかく言われないようにすることが小沢さんの最大の政治課題です。そこで、小沢さん自ら記者会見を開き、政治と金の問題でどこが捜査の対象になり、どんな議論のやりとりがあったのかを図表を使ってわかりやすく語りましょう。資金や資産の帳簿もすべて公開して、国民や記者に直接説明をしましょう。ホームページでも説明しましょう。マスコミや国民からの質疑応答もとことんやりましょう。それは小沢さん個人のためではなく、日本のためです。身命を賭すとおっしゃるのであれば、それぐらいのことをやりませんか。
もし、”それは出来ない”とおっしゃるのであれば、”申し訳なかった。
たしかに不正な経理処理があった”と自ら認め、あっさりと議員辞職しましょう。自らみそぎをしてください。
そして次の総選挙で国民から審判を仰ぎましょう。そこまでやる小沢さんならきっと国民も議員もついてきてくれます。もしそこでも負けるようなことがあれば、それはそのときのことです。スパッと別の人生を始めればいいじゃありませんか。国民から必要とされる働きは国会議員でなければならないこともありますが、他の方法でもやれることがたくさんあります。資金を集めて政治家育成学校をやるもよし、政治評論家や国民啓蒙家として全国を講演行脚するのもよいでしょう。お国のためにこれからも働きましょう。私も小沢さんのためなら、どこまでもカバン持ちでお供いたします」
●私は小沢さんの支持者ではないが、小沢さんさえ何かに執着しなければ、第二・第三の素晴らしい人生が待っているように思う。
「岡目八目」、他人のことはよく見えるものだ。
「人間はいつ死んでもいいと思うのが悟りやと思うておった。ところがそれは間違いやった。平気で生きていることが悟りやった」
(曹洞宗大本山永平寺78世貫首:宮崎奕保(みやざき えきほ)師)
●この言葉にであったとき、「なんだ、平気で生きていることぐらい簡単じゃないか」と思った。そのとき私は、すべて順調(にみえた)だったし、平気で生きていることは難しくもなんともなかった。
●だが、人生は順風ばかりではない。横風も逆風もくる。強風も大波も嵐もおそう。そうなれば、一転して心配事が心を占めるようになる。
子供が家からいなくなったときは、動転して夜も眠れなかった。
何があっても平気で生きていることは大変なことなんだとそのとき、はじめて気づいた。
●ところで、人はどんな心配をするものか、書きだしてみたらアッという間に40個以上書けた。
子供の心配、親の心配、伴侶の心配、親せきの心配、友だちの心配、恋人の心配、結婚の心配、業績の心配、仕事の心配、お金の心配、社員の心配、お客の心配、将来の心配、健康の心配、上司の心配、部下の心配、失職の心配、左遷の心配、減給の心配、所属している団体や交流会の心配、歯の心配、目の心配、髪の心配、肥満の心配、老化の心配、家やマンションの心配、料理の心配、掃除の心配、洗濯の心配、ペットの心配、お天気の心配、着るものの心配、パソコンや携帯の心
配、メールの心配、睡眠の心配、ひいきの野球チームの心配、サッカー日本代表の心配、政治の心配、国の心配、日本経済・世界経済の心配、地球環境の心配、貧困の心配、戦争の心配、テロの心配・・etc.
もう、心配だらけだ。
●心配が複数あるものだから、やがて自分でも何の心配をしていたのか思い出せなくなる。それが常の状態になると、不安や憂鬱やストレスになり不定愁訴につながって身体や心を痛めつけることになる。
すると、何を食べていても「美味しい」と感じないし、どんなに素晴らしい体験をしても「素晴らしい」と心から思えない。人生が楽しめなくなってくるのだ。
●そうした不安な感情にやられっぱなしでいては、心は不安の植民地。
真の独立を勝ち取るためには、不安感情を克服せねばならない。
「生活の情味を味わわずに生きている人は、本当の人間生活ではない」
と中村天風師も説いているように、心配ではなく希望や理想が心を占めるようにすることである。
●そのためには心の操縦法をマスターせねばならない。
「絶対積極」(ぜったい せきぎょく)の精神を養って、不安に心を占領されないようにしよう。
「事あるも事なきも 事なき日のそれの如く 晴れて良し、曇りても良し、富士の山」(山岡鉄舟)
これが絶対積極の心境であると天風師。
<あすにつづく>