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ええ、大丈夫です

●日曜日にかみさんのおつかいでマクドナルドへ行った。
レジ前には数人が並んでいて、レジが3台あるが一列になって順番を待つ。先頭にいる人が空いたレジに向かうという”システム”だった。

●ようやく今度は私の番というときになって、そのシステムを知らないおじさんが入店してきて、空きそうなレジの前に並んでしまった。
「おじさん、順番ですよ」と教えてあげればよかったのだが、レジは空いてしまったので、私はそのおじさんを追い抜いて女性にむかって「○○セット一つ」と注文した。

●その様子をレジの女性(20歳くらい)はどこまで見ていたのか、私を割り込みの悪者だと思ったのかもしれない。
商品を注文しても笑顔がまるでない。「仏頂面をしてみて」とお願いしたら誰もがああいう表情を作るだろうという顔をしていた。

●動作は素早いが、つっけんどんというか、乱暴な感じの早さだ。お金のやりとりも、コンビニに時々いるヤンキー高校生店員のような態度だった。

「ついにマックも外国人を入れだしたのかな」と思って名札を見たら、ちゃんと日本人と思われる名字があった。

●会計が終わり、”そこでお待ち下さい”というので脇へずれながら私は、やっぱりだまっていられなくなった。

「笑顔がないんだね」と言った。
「え?」
と彼女が言ったあと、今度は耳を疑う言葉を返してきた。
「ええ、大丈夫です」

●なにが大丈夫なんだ?大丈夫でないのはこっちだ、と言いたくなったが、それでも彼女なりに懸命に作り笑いをしている様子。何かが伝わったんだと思い、もう何も言わないことにした。

家でその話をしたら、かみさんは「マクドナルドがそんな接客しててはあかんわねぇ」と言った。
つまり、マクドナルドはいつでもどこでも誰でも一定以上の接客をする所というイメージがかみさんにはあるようだ。(私にはないが)

●そこで私はマクドナルドに二つのことを申し上げたい。同時に、自分に対しても、一つのことを言いたい。

まずマックに対してだが、高級路線の黒マックを出店するなど、業績も好調でご同慶の至りだが、以前ほどスマイルが見られなくなってきたように思う。
「笑顔がないんだね」は私にとって苦言のつもりなのだが、彼女は、気づかいの言葉と受けとったようだ。「大丈夫です」はその返答なのだろうが、そうした自己中心的なマインドをたたき壊してやらねばならないのではないか。

●二つ目には、レジ待ちを一列にするシステムは、もっとお客に周知徹底させねばならないと思う。
中高年のなかにそれを知らない人がいる。それは店側の責任において徹底しないと、きちんと並んでいるお客が不快な思いをしたり、ストレスを感じたりする。

●最後に自分に言いたいことだが、20歳前後の娘をつかまえてムキになって注意した自分が恥ずかしい。

「笑顔がないんだね」という嫌みっぽい言い方ではなく、もっと洒落た言い方が出来たのではないかと考えてしまった。
たとえば、「追加でスマイル一つ、お願いします」とか。

●かみさんにハンバーガーを手渡したあと、スマイル問題を考えながら映画を観に行った。それは、人を楽しませるショービジネスの映画だった。

イタリアの映画監督・フェデリコ・フェリーニの自伝的映画『8 1/2』をミュージカル化し、それを映画化した『NINE』という映画。

・・・映画史上最もゴージャス&ファッショナブル・・・

というキャッチフレーズはやや誇大な印象があるが、たしかにオールスターともいえる出演者たちの顔ぶれ。その好演と歌、ダンスは見どころ充分。イタリアの自然の美しさや、セクシーな男女の恋物語が満載された見どころたっぷりの映画だった。

●ダニエル・デイ=ルイス(52)が演じる映画監督グイドは、最近スランプに陥っている。新作「イタリア」の制作に行き詰まり、脚本が一ページも書けないままクランクインを迎えてしまう。わがままを言って撮影を延期し、海沿いのホテルで休暇をとる。妻ルイザ(マリオン・コティヤール)を呼んで自分の苦悩を癒してもらおうとしたが、そのホテルに愛人カルラ(ペネロペ・クルス)がやってきて鉢合わせしてしまう。
仕事でも家庭生活でも追い詰められていくグイド。彼の回りで、グイドを心配し、世話をするのが母役のソフィア・ローレン、大女優役のニコール・キッドマン、ベテラン衣装デザイナーにジュディ・デンチ、ファッション記者にケイト・ハドソン、砂浜の娼婦役にステイシー・ファーガソンといった豪華絢爛の女優陣。

●『シカゴ』でキャサリン・ゼタ=ジョーンズが輝いていたように、この『NINE』では、グイドの妻役マリオン・コティヤールが光っていた。

★キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=2452

★マリオン・コティヤール
http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=2453

●人を良い気分にさせるのは簡単なことではないが、それをする人間には充分な見返りがあると気づかせてくれる映画だった。

あのマックの店員にも見せてあげたいものだ。