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バッサバッサと夢を捨てる

●「この商品を使うと私のように元気ハツラツ、夢を実現する人生が送れます」

お客様に夢を売る仕事をしていたセールスマンのN君(38)が極度の販売不振に陥り、その仕事を続けられなくなった。
本当は転職したい、いや、せねばならない。だが、そんなことをしたらお客様にウソをついてきたことになると思って決断できなかった。
だが背に腹は代えられず、ついに転職した。

●どうしようか迷ったが、お客様や友人に転職のあいさつ回りをしたN君。ものすごくビックリされると思っていたが、意外な反応が返ってきた。

・あ、そう。良かったね。がんばってね
・ふ~ん、そうなの。でも今まで通り時々は顔を出してね
・分かった。落ち着いたら連絡してよ

N君は拍子抜けする気持ちだった。世間とはそんなものである。決して世間が冷たいとか無関心という意味ではなく、N君と同じ思いではないというだけのことだ。それに気づいたN君は少々気が楽になった。

●夢によって自分が傷つけられていた…。

これは石田衣良の『夢を捨てた午後』に出てくる表現。小説のあらすじはこうだ。

・・・唯人(28)は、衣料を箱詰めするピッキングのアルバイトをしている。唯人はメジャーレーベルからCDデビューしたこともあるミュージシャンの卵だが、契約は2年で打ち切られ、今はほとんどアルバイトばかりの毎日。ある春の日の午後、アルバイト中の唯人は、音楽の夢が自分の体からはがれ落ちていくのをはっきりと感じた。
音楽は唯人の人生の半分を懸けた大切な夢だ。だが夢を捨てることで、意外にも身軽になった自分を唯人は感じる。・・・

●夢や目標、ビジョンを持つことは素晴らしいが、それに固執するあまり大切なものを見失わないようにしよう。
今日を嬉嬉として快活に過ごすことや、家族や友人や仲間に感謝して生きることが大切である。
そのための手段として夢やビジョンや理念を必要とするわけだ。だが、それらがあることで、かえって日々の生活やビジネスの活力が奪われるとしたら本末転倒としか言いようがない。

●「夢をあきらめるな!」などと世間は言うが、たった一つの夢だけを後生大事に追いかけ続けろという意味ではない。

ここに、夢捨て応援委員会が書いた『夢の捨て方』という本がある。

タイトルに惹かれて読んでみたが、夢を捨てろというだけで、どのように生きろという部分が希薄で食い足りなかった。だが個人的には企画の意図に賛成票を投じたい。

●私が各地で訴えてきたことのひとつに、こんなメッセージがある。

・・・
【Wish List】を書き出し、その中から大切なものだけをマンダラチャートで整理しよう。当然、【Wish List】の書き出し作業は中途半端に終わらせず、とことん書き尽くしてほしい。その中から本当に大切なものだけをチョイスしてマンダラに転記しよう。
17,000個のWish Listを作っているアメリカ人女性もいるぐらいだから、あなたも負けずに最低300個は Wish を書いて欲しい。
・・・

●これからもそのメッセージを変えるつもりはないが、本当に大切な目的や目標は年々減っていくものだということをもっと強調せねばと思う。

不必要な「Wish」や「目標」はバッサバッサと切り捨てて、大切なものだけを残していきたい。
選択肢をあえてどんどん狭めていくなかで、深まりや高まりが出てくるものがあるはずだ。

悪い Wish が良い Wish を追い出していないだろうか?

その Wish は本当にあなたの Wish なのだろうか?