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続・夢を実現できる働き方

●「徒弟制度」についての読者メールを幾つかご紹介したい。

1.香港 林さん
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徒弟制度賛成です。コンサルタントをしている私は弟子を採用して2年で倍の給料が取れるようにしてやり外に送り出すという方針を採っています。
2年というと大変短いですが,日本人のように生涯かけて腕を磨くという精神性は,中国人には余り馴染まないようです。
本当の意味で「アート」な部分までは鍛えられませんが,どこかの工場に就職して倍の給料になる.または別のコンサルファームに転職して,私のライバルになる(笑)ことは可能です。

中華系の経営者を見ていて思うのですが,彼らの夢は仕事の中にはないのでしょう。彼らにとって仕事は人生の夢を実現するための手段.私のような前世代日本人は,仕事そのものが人生という姿勢で仕事に取り組みがちです。どちらが良いということではないと思いますが,今更変えられません(笑)
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<武沢より>
なるほど、ありがとうございました。
たしかにそうした職業観や人生観は良し悪しの問題ではなく選択の問題なのでしょう。
私は、福沢諭吉の心訓にある、「世の中で1番楽しく立派な事は、一生涯貫く仕事をもつ事です」という考えの方が好きです。

また日本は高度な技術をもった職人を大切にしてきた国だと思います。彼らが腰をすえて技術をみがき、思う存分ウデをふるったことが技術大国ニッポンを支えてきたはずです。
しかし、機械化やコンピュータ化、高学歴、少子化がすすみ、かつてほど職人教育に熱心な会社がなくなってきているのではないかと危惧しています。

2.匿名、匿住所 男性社長
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私の会社は建設職人を数人抱えているのですが、徒弟制度に近いものを見よう見まねで数年前までやっていました。しかし、退職した社員が労基署に駆け込んで待遇の不満などをもらしたことから、その後、監督官の指導がうるさくなって、結局、制度そのものをやめてしまいました。
そうしたら最近テレビで秋山木工さんの徒弟制度が取り上げられているではありませんか。武沢さんもご覧になったと思いますが、あそこまで入念に計画された徒弟制度なら、今の法律のもとでも問題がないのだと知り、自分の甘さを思い知りました。もう一度、あのときの監督官に会いにいって相談し、新・徒弟制度に取り組んでみるつもりです。良いきっかけをありがとうございました。
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<武沢より>
私は本で知ったのでテレビはみませんでしたが、「見たよ」という方から何通もメールが届いています。
当然のことながら徒弟制度は業界によって中味が変わるでしょうし、職人を養成するカリキュラムにいたっては各社各様なものになるでしょうね。創意工夫して納得できるものを作っていってください。

●木工職人を目指して8年間の丁稚生活が始まる。
最初の儀式は入社式だが、まずそこで全員が頭を丸刈りにされる。当然、女子も同じだ。肩まであった黒髪をバリカンで丸刈りにされ、最後の覚悟を固める女子もいるという。
最初の4年間は全員が寮生活。携帯電話禁止、親との面会も禁止、恋愛も禁止。まともに休めるのは盆と正月だけという厳しい修行生活が始まるのだ。

●4年間の下積み時代を「丁稚」として過ごす。
平均睡眠時間は3~4時間、起床は5時前で、早朝マラソンで一日が始まる。
寮や食堂の食事の準備をしたり掃除などの雑用も、もくもくとこなす。
現場では先輩の職人をサポートしながら技術や知識を覚えていく。毎日スケッチブックに手書きレポートを書く。

●もちろん、すべてにおいて秋山社長がかかわっていく。

それにしても、なぜ、こうした面倒なことをするのだろうか?
それは、「職人こそ人間教育が必要である」と秋山社長が考えているからにほかならない。
技術4割、人間性6割というのが同社の評価基準であり、それが秋山社長の目指す職人像なのである。それには生活指導が欠かせないというわけだ。

●こうした4年間の下積みを終えて、試験も無事パスすると晴れて一人前の「職人」になる。
待遇は一変し、呼び捨てから「君」づけに変わる。「職人」になってからの4年間は寮を出てひとり暮らしができるようになる。仕事も任せられ、会社へのお礼奉公が始まるわけだ。

「職人」としての4年間が終わると、合計8年間働いたことになる。それから先は、自動的に秋山木工を辞めてもらうそうだ。進路は三つ。

・独立する
・転職する
・海外で勝負する

をそこで決めるのだという。
退職金をだし、独立する者に対しては資本参加もする。

●「丁稚にしてほしい」という希望者がすでに募集数の10倍を超えてきた。それが100倍を超えたとき、秋山木工を学校のような教育機関に変えたいと真剣に考えている秋山社長。

社長の全生活をかけた人材育成に終わりはない。こんなマネは中小企業にしか出来ないはずで、こんな会社がたくさん出てきたら、日本はもっともっと面白くなるに違いない。

★『丁稚のすすめ』 http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=2415

★秋山木工 http://www.akiyamamokkou.co.jp/student.html