「あなたはどんなスポーツTV中継を見るのが好きですか?いくつでもあげて下さい。」・・・読売新聞世論調査部による、2001年2月調査の結果がある。
1位 プロ野球 55.2%
2位 マラソン 37.9%
3位 駅伝 34.6%
4位 高校野球 31.2%
5位 大相撲 28.3%
ようやく6位になってプロサッカー22.7%が入り、意外にも大リーグやゴルフ、K-1などの格闘技やF1レースなどは上位に入っていない。但し、調査時期が2001年2月下旬なのでイチロー選手の大活躍が始まった今年の調査では大幅に躍進しているに違いない。
このトップ5の組合せは実は5年間変わらないという。ただし、特筆すべきは、マラソンと駅伝が前年の3、5位から2、3位に躍進している点だ。
2000年シドニー五輪での高橋尚子の金メダル、2001年1月の渋井陽子の初マラソン世界最高記録での優勝など、日本人の大活躍がファン層の拡大に貢献しているようだ。
そうした中、日本の国技と言われる大相撲が人気凋落に歯止めがかからない。92年にこの調査が始まって以来、数値・順位ともに過去最低の結果に甘んじている。若乃花・曙の両横綱引退や、貴乃花のライバル不在と長期休場など人気力士が土俵にいないツケは大きい。ちなみに、「若・貴人気」が絶頂にあった92年頃は、大相撲は66%の支持を得て堂々の一位だった。事実、その当時は相撲チケットの入手が大変困難だったことを覚えている。
しかし、その後は人気の長期下落傾向が止まらず、70歳以上の人々からは56%の支持を得ているものの、20歳代からは5%の支持しか得ていないあり様だ。
スポーツの場合、TV人気は興行人気と正比例し、興行人気はやがてそのスポーツの振興に大きく貢献する。
サッカーの場合、1968年のメキシコ五輪で日本が銅メダルを取った直後に大人気が巻き起こった。当時の子供達が将来の釜本・杉山を夢見てサッカーボールを追いかけた。かく申し上げる私もその一人で、高校生時代の3年間はサッカーに明け暮れたものである。
あいにくその後は、サッカーブームは過ぎ去っていったが、野球の場合はすでにプロリーグが存在し、長島・王を中心にしたスター選手が毎日のように活躍。テレビ放送と相まって国民のスポーツに育っていく。
世界を見渡して、プロ野球が圧倒的一位に来ている国は日本以外にどれだけあるだろうか。スター選手の存在が今日の日本プロ野球を築き、スター力士の不在が大相撲を長期にわたって低迷させている。
今回のサッカー大ブームを一時的なものに終わらせないためには、Jリーグを更に活性化していく必要があり、その鍵を握るのはスター選手の登場である。日本サッカー協会をはじめ各チームは、ベッカム級のスター選手を大枚はたいて連れてくる努力が必要だろう。それは充分すぎるほど見返りがある投資のはずだ。
さあ、企業経営にとって「スター選手」に相当するものは何だろう。
一度お考えいただきたい。